光を掴んだその先に。
腹を抱えて笑い転げる老人を目の前にすれば、そこに容赦なく竹刀を振り下ろすなんて出来なかった。
そして一段落笑い終えると「ん?」と、何かに気付いたおじいさんは顔を近づけてくる。
「よく見たら剣にも似とるわい。お前は美鶴じゃないのか?」
まさか…このエロジジイがお父さんの父親であり私のおじいちゃん…?
このひとが天鬼 道玄なの…?
とりあえず、しらーっと目付きを据わらせて声を落とした。
「……あんたの孫ですけど」
「…孫………おおっ!?もしや絃かっ!!」
「うわっ!」
ガバッと抱きしめられる。
会いたかったぞぉぉなんて嬉しそうに言われちゃったら、怒ることも引き剥がすことも出来ないじゃんか…。
「大きくなったのう…」
「…おじい…ちゃん…」
初めて身内の名前を口にした。
じーんと鼻の奥から込み上げてきそうになったものは、ふむふむと何かを確かめる手つきに引っ込んでしまう。
「…なにしてんの、じいちゃん」
「ここも美鶴に似てしまったかの…。図体だけじゃなく胸や尻もでっかくなれば良かったものを…」
さわさわとお尻を触ってから、老人はつまらなそうに「はあ」とため息を吐いた。
「ジジイ!!ぶっ殺す…!!」
「お嬢!いけません!組長っす!ここの組長なんすよ!?」
「知らんっ!離して俊吾っ!」