光を掴んだその先に。
これは私だけじゃなく、お母さんの仇も入ってる。
なんとなくそんな感じがする。
「わっはっは!まったく喧嘩っ早いところも母親にそっくりじゃ」
いや、あんたを前にすれば誰だってこうなるよ。
というかこんな人がここの組長…?
それなのにトップの極道一派?
本当なのそれ……。
「落ち着け絃。…組長、お久しぶりです」
「お、絃織ではないか」
そんな賑やかな空間に新たに揃った那岐。
相変わらずのポーカーフェイスで組長の前に立って、少しばかり無言の空気が流れた。
私の角度からは見えなかったけど、彼らはよく目で会話をすることがある。
きっと今もそんなものだろう。
「姉さんも元気そうで」
「…絃織ちゃんこそ、立派になっちゃって」
おじいちゃんに追いかけ回されていた雅美という女は、朗らかに微笑んで那岐を見つめた。
この2人もまた関係してるんだ…。
私はまだまだ知らないことがいっぱいありそうだ。
そして次に、彼女は私へと。
「あなたが絃ちゃんなのね。助けてくれてありがとう」
「い、いえ…」
「でもいつものことだから心配しないで。私は雅美(まさみ)、あなたのお父さんの姉の娘よ」