光を掴んだその先に。
あぁ、だから那岐も“姉さん”と呼んでたんだ。
彼女は那岐よりも10歳ほど年上だと思う。
この場所は組長の血縁者ならば、皆して“兄”や“姉”と呼ばれる。
ん…?待てよ?
お父さんの姉の娘ってことは、このひとは私の従姉妹に当たるひと…?
「わからないことがあったら何でも聞いて。答えられることなら教えるわ」
スッと、一瞬だけ那岐を見つめて言った雅美さん。
いろいろ分からないことが多すぎるから、改めて言われると困る…。
けど、優しそうな女性で良かった。
「はい」と小さく返事をして、私は軽く頭を下げた。
「美鶴という人は……お母さんは、どんな人だったんですか…?」
いきなりの爆弾発言だったのか。
しーんと、静まり返ってしまった。
「あ、その…みんな美鶴さんに似てるって言ってくれるから…どんな人なのかなって、」
あははっと愛想笑いを決め込め私。
振られた数日後の朝、昇降口にて天馬くんにしたみたいに。
これは聞いちゃ駄目な質問だったかな…。
それともいきなり過ぎたかな、まだ雅美さんと出会ったのだって今さっきだから。