光を掴んだその先に。
「うわっ、寝癖やばっ!」
どんな寝方したらこうなるの私っ!!
こうして水にちょんちょんすればスッと収まるけど、やっぱり髪切ろうかなぁ。
長く伸びた茶色を見つめてため息……なぁんて呑気なことしてる時間なんかないんだった!!
「じゃあ行ってきまーすっ!みんなも保育園楽しめー!!」
1つに結んでポニーテール。
いつからかお決まりとなっていた髪型だった。
ラクだし落ち着くし、動く度にぴょんぴょん跳ねる毛先が子供たちにも人気なのだ。
「行ってらっしゃいお姉ちゃんっ!」
「あーかわいいっ!帰ったら一緒に遊ぼうね!」
「うんっ!」
たくさんの妹や弟たち。
“ひまわり園”という名の児童養護施設。
寂しさすら感じさせない優しい職員に囲まれて。
私、天城 絃(あまき いと)は高校1年生の16歳を迎えたばかりだった。
いつからこの施設に居るのかは考えたこともない時点で、もうずっとずっと前ってことが分かる。
「あ!佳祐(けいすけ)っ!」
ダッシュで学校へ向かっていると、前を歩く見慣れた背中を発見。