光を掴んだその先に。




「ちょっと待ってよ佳祐!」


「…話しかけるな」


「相変わらず冷たいなっ!凍るわ!朝から凍っちゃう!!」


「お前が相変わらずうるさいんだよ」



この男は同じ施設で育つ、桜木 佳祐(さくらぎ けいすけ)。


物心ついた頃から一緒に居るし、歳も同じだから、昔はずっと手を繋いでいつも一緒に過ごしていたというのに。

いつからか訪れた反抗期が今も続いてしまっていて。



「あっ、そういえば誕生日プレゼントまだ貰ってないなぁ~」


「なんの話?」


「いやとぼけないでよっ!昔は毎年お手紙くれてた可愛い佳祐はどこ行ったの!」



梅雨が終わって、もうすぐ夏休みが近づく季節。

先月迎えた16歳の誕生日に、まだこの男からプレゼントを貰っていない。

弟や妹たちからは折り紙やお手紙に歌、いろんなものが贈られたというのに。


まぁこうして今日もとぼけられることなんて分かっていたけど…。



「誕生日なんかいらないだろ。…俺たちは祝福されて生まれたわけじゃないんだし」


「…佳祐、」



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