光を掴んだその先に。
『ずっと一緒に居ようね、絃』
大罪人の息子にとって、この存在は何よりも尊い光だった。
誰よりも優しく、どんなものよりも強く儚く、そして脆い。
けれど少年の生きる希望そのものだったのだ。
『俺たちは兄妹だから、…絃がいつかお嫁さんに行くまでは…』
すやすやと眠る子をぎゅっと抱きしめる。
『やっぱりそれも嫌だな。
いつか───…俺のお嫁さんにしてあげる。…なんて』
ポタリ───。
その頬に雫が落ちると、赤子はゆっくり目を開く。
そして必死にその雫を掴もうと手を伸ばして、ふぇぇぇんっと泣き出す。
声を出して泣けない少年の代わりにいつもこうして泣いてくれるのだ。
出会った頃もそうだった。
この子を見ていると、なぜか溢れて止まらない。
『俺のせいで、いつか泣かせちゃうかもしれない。俺のせいで…たくさん苦しい思いをさせちゃうかもしれない』
俺のことを嫌いだと言って、離れていってしまうかもしれない。
出会ったときもそんな考えがうっすらと過った。
『でも、それでも俺は……絃が大好きだよ。どんなに恨まれても…大好きだよ』
こんなにも穢れなき眼差しに映る自分はどう見えているんだろうと。
その眼差しは何よりも綺麗だから、怖くて怖くてたまらない。