１０憶で始まった結婚は○○だった

　しばらくして食事が終わると。
　ティケルはやることがあると言って執務室へ行ってしまった。

　その間にファリサはお風呂に入り寝る準備をする事にした。

　部屋にお風呂があり、広々としたお風呂で大きなすりガラスがあり外の光が入るようになっている。
　夜だから光は入らないが、上の部分が透明になっている為、そこから彫空が見える。

　夜景を見ながらお風呂に入れるなんて、温泉に来たような気分だと思ったファリサ。

　シャワーを浴びているファリサの体には、あちらこちらに痣が残っている。
　腕には何かできられたような傷跡も残っていて、治りかかっているが細かい傷跡もある。

　背丈のわりには痩せているファリサ。


　お風呂に入る時は左目の眼帯を外したファリサ。

　体を洗いながら鏡に映る自分を見ているファリサは、悲しげな目をしていた。

　鏡に映るファリサの左目には、瞼に深い傷跡が残っている。
　古くなっているようだが、何かで切られたような傷跡。

　この傷を隠すためにファリサはいつも眼帯をつけているようだ。


　
　ゆっくりとお風呂に入って出てきたファリサは、パジャマに着替えた。
　持って来たシンプルなイエローの上下のパジャマ。
　素材はシルクで、肌さわりも心地よさそうだ。

　ソファーに座ってお水をんだファリサ。
　左目には眼帯をつけている。

　お水を飲んで一息ついたファリサは、ちょっと疲れてしまったようでうつらうつらとし始めた。

　時刻は２２時を回る頃だ。

　ティンケルはまだ戻ってこない。

　

　22時を過ぎる頃、ファリサはソファーに座ったまま眠ってしまった。

　
　少しして。
　ティンケルが戻ってきた。

　ソファーで座ったまま眠ってしファリサを見て、ちょっと心配そうな目をして歩み寄ってきたティンケル。


　ぐっすり眠っているファリサ。
　眠っているファリサは、まだ少女のような面影が残っているようにとても可愛い顔をしている。
　
　そんなファリサを見ると胸がキュンとなり、ティンケルはそっと微笑んだ。

　そのままファリサを抱きかかえ、寝室へ向かったティンケル。




　寝室も広く、壁際に沿って置いてあるベッドは広いダブルベッドでフカフカのクッションにふんわりした羽布団。
　カバーはシンプルに白色に統一されている。
　枕は柔らかそうな大きめのものが2つ並んでおいてある。

　窓はそれほど大きくないが、外の光が心地よく入って来るデザインになっていてカーテンは厚手のブルー。

　枕元には小さな電球もついている。

　そっとベッドにファリサを寝かせたティンケルは、可愛い寝顔を見て嬉しそうな目をしている。
　そしてファリサの左目にそっと触れた。


「…ごめんな、俺の為に…」

　そう呟いたティケルは、とても思いたい罪悪感を感している目をしている。

　俺の為に…。
　なにを表ティケルはそう言っているのだろうか？


　ぐっすり眠っているファリサを見届けて、ティケルは寝室を出て行った。


　ファリサはそのままぐっすり眠ってしまった。

　ティケルはお風呂を済ませて、暫くしてから寝室へ戻ってきた。

　時刻は23時を過ぎるだった。


　少し間を空けてファリサの隣に眠ったティンケル。

　ぐっすり眠っているファリサの寝息を聞きながら、ティンケルも眠りについた。


　本来であれば結婚初夜の筈。

　だが、ファリサはティケルと距離を置こうとしている。
　本当はファリサに触れたい気持ちもあつティンケルだが、もう少し時間をかけてもいいと思った。
　無理に距離を近くしても、きっとファリサは離れてしまうだろうと考えたのだ。


　初夜もなくただ2人で並んで眠る初めての夜。
　そんな夜も悪くないと思える…。