１０憶で始まった結婚は○○だった

　グリーンピアトの現国王様は、サーチェラスと言う渋い顔立ちのイケメン。
　言葉使いがとても丁寧で、いつも誰に対しても敬語で話す姿勢はとても優しく、スラッとした長身で１９０ｃｍ以上はあると言われている。
　サラサラと柔らかそうなサンフラワー色の短い髪に、ほっそりとした面長の輪郭に綺麗な筋の通った高い鼻、目は切れ長の目でちょっと厳しそうに見えるが瞳が優しい赤色でホッとさせられる。
　爽やかなブルー系のスーツがとても似合っていて、公務に出掛ける度に、見かけた平民達は黄色い声を上げて歓迎してくれる。

　かなりモテているサーチェラスだが、２５歳で北グリーンピアト出身の医師であるミネルと言う資産家の娘と結婚したが、結婚して5年経過した頃にミネルは亡くなってしてしまい、それ以来誰とも再婚しないでずっと２５年の間一人で国を治めてきている。

　ミネルが亡くなり１０年後に、施設訪問で出会った12歳の少年ティンケルを養子に迎えずっと育てているが、あまり仲は良くないようだ。

　ティンケルは元は貴族の子息だったが、７歳の時に両親が事故死して親戚が屋敷を奪ってしまい邪魔になり追い出される形で児童施設に入れられた。
　施設に入って５年過ぎた頃に、サーチェラスに出会い養子としてお城に引き取られたがヒソヒソと使用人達からは「落ちぶれた貴族の生き残りらしい」と言われ続け「国王様のお情けで置いて貰っている」「国王様は子供に恵まれなかったから、適当に男の子を選んだだけ」と言われ続けてきた事から、かなり傲慢な人間になってしまったようだ。

　教育係は１年に１０人以上は変わってしまい、付き添っている執事のブッドルも手を焼いている様子。

　傲慢なティンケルに、サーチェラスは特に怒る事もしないでそっと見守っている。




　傲慢なティケルもお城に来て１５年。

　見るからにクールな俺様タイプのイケメンに成長したティンケル。

　スラっとした長身で、サーチェラスと同じくらいの背丈。
　シャープな輪郭にキツイ切れ長の目に瞳は赤い色。
　髪の色は優しい栗色で長めの前髪が、ちょっとだけ目にかかっている。
　いつも命令口調で、誰にも嫌とは言わせない性格。
　黒系のスーツを好み、明るい色はあまり好まない様子。
　普段着も黒系が多い。
　
　現在２７歳になったティンケル。
　周りはそろそろ結婚して欲しいと願っているが、ティケルは誰とも恋愛をしない、縁談の話しが来ても見向きもしないまま断っていた。


　だが…
　そんなティケルもようやく結婚を決めた。

　ティケルが結婚を決めた相手は。
　北グリーンピアトの腕利き弁護士のぺリシアと言う男性の娘。
　
　どの縁談にも興味を示さなかったティケルが、何故ぺリシアの娘との結婚を決めたかと言うと。


　結婚を決めてくれた場合は、お礼として１０憶ギロを差し上げます！　と条件が出されたからだった。

　結婚したら大金が手に入る…そう考えたティンケルは即決意した。

　しかし、この縁談には10憶ギロと言う大金をあげると言う条件ともう1つ条件があった。

　それは…。
　結婚式まで会わない写真も見せない名前も教えない…という条件だった。

　結婚に愛なんていらないと思ったティケルは、相手に興味はない欲しいのは１０憶の大金だけだと言ってその条件も受け入れた。

　サーチェラスは戸惑いもあったが、ティケルが興味を示した結婚相手故に反対はしなかった。


　結婚を決めたティケルは、事をとんとん拍子で決めてゆき結婚式の日取りまで決め、必要な事は結婚の後でやればいいと言った。

　国民達には結婚が決まった事だけをサラッと号外で報告し、相手の事は詳しく知らせていなかった。


　結婚相手が判らない事から、国民の間では不安な声がなかったわけではない。
　貴族の間でも「騙されているのではないか？　」と疑惑の声が上がっていた。

　
　ちょっと違和感を感じるような結婚は、まるで１０憶のお金をもらう為の政略結婚のように始まった偽りの結婚だった…。