10憶で始まった結婚は○○だった
「国王様、申し訳ございません。私がいながら、あのような者をお城の中に入れてしまいました」
やって来たブッドルが深く頭を下げた。
「いいえ、これでハッキリ分かりましたから大丈夫ですよ。やはりファリサは、私の娘だったのですね」
「国王様も気づかれましたか? 」
「ええ。だって、ウェディングドレス姿のファリサは…昔のミネルにそっくりでしたから。驚いて息が止まりそうでした」
「そうでしたか。私も、ファリサ様が車から降りてきた時に。ミネル様が生き返ったかと思いました」
一息ついたサーチェラスは、サロンの窓際に歩み寄って行った。
窓の外は夕焼けが綺麗に輝いている。
その夕焼けを見て、サーチェラスは少しだけ悲しげな表情を浮かべた。
「ミネルは死んでいなかった。…ずっと、一番近くにいたいのですよ。姿を隠して。…そうしなくてはいけない、事情があったのだと思います。その事がやっと、分かりました。あの縁談申し込みは、きっと、ファリサを私の下へ返す為のものだったのでしょうね。写真を見せてしまうと、気づかれてしまうと思われたのかもしれません。そして、ファリサの顔を見せたくないご事情があられたのでしょう」
「国王様。どうなさるおつもりですか? 」
「私の願いは、みんなで幸せになる事です。今、ある事を調べています。それが判れば、全て繋がります」
「そうですか。分かりました。私も、全力でファリサ様をお護り致します」
「頼みますね、ブッドル。きっと、ウィーヌ婦人はしつこく付きまとってくるでしょうから気をつけて下さい」
「はい、畏まりました」
部屋に戻て来たファリサは、少し寝室で休んでいた。
お城に来てから気を張っていたのは確かである。
突然現れたウィーヌに驚くよりも怒りが湧いてきた。
だがティンケルもサーチェラスも、ウィーヌから護ってくれた。
冷たい言葉しか言った事がないのに、どうして優しくしてくれるのだろう?
ティンケルは「愛する事を許してほしい」と言っていた。
ティンケルの事を嫌いではない。
でも、こんな自分は相応しくないと思う。
だからこのまま何も関係は持たないし、深入りもしない。
形だけ…それでいいと思っている。
なのにティンケルもサーチェラスも、どんどん距離を近くしてくる。
それが嫌ではないけど…。
休みながらファリサは複雑な気持ちだった。
その後、夕食を軽く食べたファリサは少し元気を取り戻しお風呂の後はゆっくりと本を読んでいた。
時刻は22時を回っていた。
今日もティンケルは遅くまで執務室にこもっているのだろうと思ったファリサ。
カチャッと。
ドアが開いてティンケルが戻ってきた。
チラッと見たファリサは、今日は珍しく早く戻って来たのだと思っていた。
そのままお風呂に向かったティンケル。
その間、ファリサは本を読んでいた。
間もなくしてティンケルがお風呂から上がってきた。
ファリサは分厚い本を読み続けていた。
「ファリサ。まだ寝ないのか? 」
「はい、この本を読み終えたいので」
シレっと答えたファリサに、ティンケルは歩み寄ってきた。
ファリサの傍に来たティンケルは、サッと読んでいる本を取り上げた。
ムッとしてティンケルを見たファリサ。
「本は昼間でも読めるだろう? 」
「続きが気になり、眠れません」
「いつも遅く寝ているんだ。今日くらい、早く寝ろ。疲れているだろう? 」
「いいえ、お気になさらず」
「気にしないわけにはいかない。遅く寝るのは、体に良くないからな」
そう言って、ひょいとファリサを抱きかかえたティンケル。
「ちょ…ちょっと…」
降ろして! と言いたいファリサを、そのまま抱きかかえたまま寝室へ向かったティンケル。
やって来たブッドルが深く頭を下げた。
「いいえ、これでハッキリ分かりましたから大丈夫ですよ。やはりファリサは、私の娘だったのですね」
「国王様も気づかれましたか? 」
「ええ。だって、ウェディングドレス姿のファリサは…昔のミネルにそっくりでしたから。驚いて息が止まりそうでした」
「そうでしたか。私も、ファリサ様が車から降りてきた時に。ミネル様が生き返ったかと思いました」
一息ついたサーチェラスは、サロンの窓際に歩み寄って行った。
窓の外は夕焼けが綺麗に輝いている。
その夕焼けを見て、サーチェラスは少しだけ悲しげな表情を浮かべた。
「ミネルは死んでいなかった。…ずっと、一番近くにいたいのですよ。姿を隠して。…そうしなくてはいけない、事情があったのだと思います。その事がやっと、分かりました。あの縁談申し込みは、きっと、ファリサを私の下へ返す為のものだったのでしょうね。写真を見せてしまうと、気づかれてしまうと思われたのかもしれません。そして、ファリサの顔を見せたくないご事情があられたのでしょう」
「国王様。どうなさるおつもりですか? 」
「私の願いは、みんなで幸せになる事です。今、ある事を調べています。それが判れば、全て繋がります」
「そうですか。分かりました。私も、全力でファリサ様をお護り致します」
「頼みますね、ブッドル。きっと、ウィーヌ婦人はしつこく付きまとってくるでしょうから気をつけて下さい」
「はい、畏まりました」
部屋に戻て来たファリサは、少し寝室で休んでいた。
お城に来てから気を張っていたのは確かである。
突然現れたウィーヌに驚くよりも怒りが湧いてきた。
だがティンケルもサーチェラスも、ウィーヌから護ってくれた。
冷たい言葉しか言った事がないのに、どうして優しくしてくれるのだろう?
ティンケルは「愛する事を許してほしい」と言っていた。
ティンケルの事を嫌いではない。
でも、こんな自分は相応しくないと思う。
だからこのまま何も関係は持たないし、深入りもしない。
形だけ…それでいいと思っている。
なのにティンケルもサーチェラスも、どんどん距離を近くしてくる。
それが嫌ではないけど…。
休みながらファリサは複雑な気持ちだった。
その後、夕食を軽く食べたファリサは少し元気を取り戻しお風呂の後はゆっくりと本を読んでいた。
時刻は22時を回っていた。
今日もティンケルは遅くまで執務室にこもっているのだろうと思ったファリサ。
カチャッと。
ドアが開いてティンケルが戻ってきた。
チラッと見たファリサは、今日は珍しく早く戻って来たのだと思っていた。
そのままお風呂に向かったティンケル。
その間、ファリサは本を読んでいた。
間もなくしてティンケルがお風呂から上がってきた。
ファリサは分厚い本を読み続けていた。
「ファリサ。まだ寝ないのか? 」
「はい、この本を読み終えたいので」
シレっと答えたファリサに、ティンケルは歩み寄ってきた。
ファリサの傍に来たティンケルは、サッと読んでいる本を取り上げた。
ムッとしてティンケルを見たファリサ。
「本は昼間でも読めるだろう? 」
「続きが気になり、眠れません」
「いつも遅く寝ているんだ。今日くらい、早く寝ろ。疲れているだろう? 」
「いいえ、お気になさらず」
「気にしないわけにはいかない。遅く寝るのは、体に良くないからな」
そう言って、ひょいとファリサを抱きかかえたティンケル。
「ちょ…ちょっと…」
降ろして! と言いたいファリサを、そのまま抱きかかえたまま寝室へ向かったティンケル。