10憶で始まった結婚は○○だった
「貴女達、人の悪口はその辺で止めてはどうですか? 」
声がして3人が振り向くと、そこにはサーチェラスがいた。
「こ、国王様」
「どうなされたのですか? このような所にお越しになるとは」
「お散歩ですか? 」
愛想笑いを浮かべた3人を、サーチェラスは厳しい目で見つめた。
「ここは私の家です。どこにいても、自由ですよ」
「はぁ、そうですね」
「お天気もいいので、お散歩もいいですよね」
「ここもしっかり、お掃除しておきました」
愛想笑いを浮かべて話す3人に、サーチェラスは内心呆れていた。
「掃除も大変宜しいのですが。大切な私の娘の悪口は、今後一切許しません! 」
ギクッとなり3人の顔色が変わった。
「人の事をとやかく言う前に、ご自分の心を見つめてはどうですか? 人が触れられたくない事をネタにして、非難するのはどうかと思います。ファリサは、私の大切な娘です。今度また同じことを聞いた時には、貴女達には辞めて頂きます」
3人は何も言い返せず黙って俯いていた。
「ファリサは素晴らしい女性です。ハンデを背負っても、懸命に生きているのです。貴女達にそれが出来るのですか? 私はファリサがティンケルと結婚してくれた事を、心から感謝しております。もう二度と、ファリサの悪口は言わないで下さいね」
厳しい口調で言われて、3人は小さくなってしまった。
サーチェラスはそのまま去って行った。
去り行くサーチェラスを見ながら、3人は掃除道具を持って去って行った。
中庭で聞いていたファリサは、ちょっと複雑な気持ちだった。
サーチェラスが「ファリサは私の娘です」「ファリサは素晴らしい女性です」と言った言葉が胸に刺さっていた。
憎い人だから殺してしまおう。
そして…お母さんから奪った財産を全て取り返してやろう。
そう思っていた。
だが…
ウィーヌに酷い事を言われて、倒れそうになった時。
全身で優しく受け止めてくれた。
その時の腕の温もりは心地よくて。
悪口を聞いて使用人に本気で怒ってくれているサーチェラスの顔は、父親の顔をしていた。
仲良くする気はない!
そう言ったのは自分だ。
それなのに、どうしてあんなに優しい目を向けてくれるの?
悪口を聞いて本気で怒ってくれるの?
複雑な気持ちのまま、ファリサはそっと左目に触れた。
「…この傷を恨んだことはないけど。…表に出てはいけないって、思っていたから…。どうせ、あの人は忘れているから…あの日の事なんて…」
あの日の事。
ファリサが左目を怪我した日の事。
そして「あの人」とは…。
少し落ち込んだ気落ちのままお城の中に戻ってきたファリサ。
部屋に戻るため階段を上っているファリサ。
上りなれた階段が、何だか今日は長いように感じる。
登る足も重く感じる。
どうしてだろう?
そう思った時。
グラッと天井が回ったように感じたファリサ。
そのまま重心が後ろに向かってしまい。
ドタドタ…と、階段から転がり落ちてしまったファリサ。
上ってきたのは階段の踊り場手前までだったが、結構な距離があった。
下まで転がり落ちてしまったファリサは、ぐったり気を失っている。
「ファリサさん? 」
城の中に戻ってきたサーチェラスが、ファリサが倒れているのを発見して駆け寄って来た。
「ファリサさん、どうしたのですか? 」
倒れているファリサを抱きかかえたサーチェラス。
ぐったりしているファリサは、頭から血を流していた。
真っ青になったサーチェラスは、上着を脱いでファリサの傷口にあてた。
「ブッドル! どこにいるのです? 」
呼ばれてブッドルが走ってやって来た。
「国王様、どうされましたか? 」
「ブッドル! すぐに車を用意して下さい、ファリサが怪我をしています。国立病院に、連れて行きます」
「畏まりました」
青い顔をしているファリサを抱きかかえ、サーチェラスは車へ向かった。
声がして3人が振り向くと、そこにはサーチェラスがいた。
「こ、国王様」
「どうなされたのですか? このような所にお越しになるとは」
「お散歩ですか? 」
愛想笑いを浮かべた3人を、サーチェラスは厳しい目で見つめた。
「ここは私の家です。どこにいても、自由ですよ」
「はぁ、そうですね」
「お天気もいいので、お散歩もいいですよね」
「ここもしっかり、お掃除しておきました」
愛想笑いを浮かべて話す3人に、サーチェラスは内心呆れていた。
「掃除も大変宜しいのですが。大切な私の娘の悪口は、今後一切許しません! 」
ギクッとなり3人の顔色が変わった。
「人の事をとやかく言う前に、ご自分の心を見つめてはどうですか? 人が触れられたくない事をネタにして、非難するのはどうかと思います。ファリサは、私の大切な娘です。今度また同じことを聞いた時には、貴女達には辞めて頂きます」
3人は何も言い返せず黙って俯いていた。
「ファリサは素晴らしい女性です。ハンデを背負っても、懸命に生きているのです。貴女達にそれが出来るのですか? 私はファリサがティンケルと結婚してくれた事を、心から感謝しております。もう二度と、ファリサの悪口は言わないで下さいね」
厳しい口調で言われて、3人は小さくなってしまった。
サーチェラスはそのまま去って行った。
去り行くサーチェラスを見ながら、3人は掃除道具を持って去って行った。
中庭で聞いていたファリサは、ちょっと複雑な気持ちだった。
サーチェラスが「ファリサは私の娘です」「ファリサは素晴らしい女性です」と言った言葉が胸に刺さっていた。
憎い人だから殺してしまおう。
そして…お母さんから奪った財産を全て取り返してやろう。
そう思っていた。
だが…
ウィーヌに酷い事を言われて、倒れそうになった時。
全身で優しく受け止めてくれた。
その時の腕の温もりは心地よくて。
悪口を聞いて使用人に本気で怒ってくれているサーチェラスの顔は、父親の顔をしていた。
仲良くする気はない!
そう言ったのは自分だ。
それなのに、どうしてあんなに優しい目を向けてくれるの?
悪口を聞いて本気で怒ってくれるの?
複雑な気持ちのまま、ファリサはそっと左目に触れた。
「…この傷を恨んだことはないけど。…表に出てはいけないって、思っていたから…。どうせ、あの人は忘れているから…あの日の事なんて…」
あの日の事。
ファリサが左目を怪我した日の事。
そして「あの人」とは…。
少し落ち込んだ気落ちのままお城の中に戻ってきたファリサ。
部屋に戻るため階段を上っているファリサ。
上りなれた階段が、何だか今日は長いように感じる。
登る足も重く感じる。
どうしてだろう?
そう思った時。
グラッと天井が回ったように感じたファリサ。
そのまま重心が後ろに向かってしまい。
ドタドタ…と、階段から転がり落ちてしまったファリサ。
上ってきたのは階段の踊り場手前までだったが、結構な距離があった。
下まで転がり落ちてしまったファリサは、ぐったり気を失っている。
「ファリサさん? 」
城の中に戻ってきたサーチェラスが、ファリサが倒れているのを発見して駆け寄って来た。
「ファリサさん、どうしたのですか? 」
倒れているファリサを抱きかかえたサーチェラス。
ぐったりしているファリサは、頭から血を流していた。
真っ青になったサーチェラスは、上着を脱いでファリサの傷口にあてた。
「ブッドル! どこにいるのです? 」
呼ばれてブッドルが走ってやって来た。
「国王様、どうされましたか? 」
「ブッドル! すぐに車を用意して下さい、ファリサが怪我をしています。国立病院に、連れて行きます」
「畏まりました」
青い顔をしているファリサを抱きかかえ、サーチェラスは車へ向かった。