10憶で始まった結婚は○○だった
 そのまま庭で倒れてしまった女の子は、とても青い顔をしている。


 そんな女の子に、大きく優しい手が降りてきた。
 その手は…

 ぺリシアだった。

 ぺリシアは包み込むように女の子を抱きかかえ、屋敷の中に入って行った。



 屋敷の中では黒い影が別の使用人に食事を作らせ、贅沢な食事を満喫している。


 女の子を部屋につ入れて行き寝かせたぺリシアは、黒い影の下へやって来た。


 黒い影は突然現れたぺリシアに驚いているようだ。

 だんだんと黒影が薄くなり…そのものが姿を現した…。


 黒影はウィーヌだった。


 派手に着飾ったウィーヌはぺリシアに驚き、何かをごまかしているようだ。


 ぺリシアは優しい顔から想像もつかないほどすごい剣幕でウィーヌに怒っている。

 言い訳をしているようなウィーヌだが、ぺリシアはそんなウィーヌにに見切りをつけたのかそのまま女の子を連れて屋敷を出て行った。



 女の子はぺリシアと一緒に、別の屋敷に連れていかれた。


 しばらく心を閉ざしていた女の子だが。
 ぺリシアの優しさと周りにいる暖かい使用人に囲まれ、次第に笑うようになった。


 笑うようになった女の子は、懸命に勉学に励み。

 ぺリシアと同じバッジをつける弁護士へと成長した。


 その姿は…今のファリサだ…。

 胸に痛みを感じ…そして…愛しさも感じたサーチェラスは、そっと目を開けた。

「ファリサ…よく耐えてきましたね。…生きていてくれて、良かった…」

 ファリサを見つめるサーチェラスの目が潤んできた。

「ぺリシアさんは、全てご存じなのですね。それで、私の下に貴女を…かえしてくれたのでしょうね…」

 溢れそうな涙をそっと拭ったサーチェラス。


「…ウィーヌ婦人とは、決着をつけなくてはなりませんね」


 そっと立ち上がると、サーチェラスは窓辺に歩み寄った。


 すっかり暗くなった外を見ながら携帯電話を取り出したサーチェラス。


「…ブッドル。頼みがあるのですが…」

 いつにない神妙な顔をしているサーチェラス… …。


「…それではお願いします。…きっとそこに重要なものが隠されている筈ですから…」

 話しを終えて電話を切ったサーチェラスは一息ついた。


「これできっと1つに繋がる筈…」


 暗くなった夜空にポツンと輝く星が見えてきた。
 その星を見て、サーチェラスはそっと微笑んだ。
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