10憶で始まった結婚は○○だった
朝になり。
目を覚ましたセレンヌは、毛布が掛けられているのを見てちょっと驚いていた。
だが、夜中にケインが巡回にでも来てかけてくれたのだろうと思ってしまった。
眠っているファリサを見て、顔色が戻っているのを確認したセレンヌはそのまま病室を出て行った。
時刻はもすぐ7時を回ろうとしていた。
セレンヌが廊下を歩いてくると、反対側からティケルが歩いて来た。
朝日が差し込んできた廊下を歩い来たティンケルは、セレンヌに気づいて足を止めた。
セレンヌはティンケルに気づいたが、そのまま通り過ぎようとした。
「あの、待って下さい」
呼び止められ、背を向けたままセレンヌは立ち止まった。
「…セレンヌさんですか? 」
そう尋ねられ、ドキッとしたセレンヌ。
「やはりそうなんですね? 」
セレンヌは背を向けたままそっと頷いた。
「随分探しました。国立病院にいらしたなんて、びっくりしました」
「…ごめんなさい。…あれから、色々とあったので…。この病院の院長先生と、知り合いで…人手が足らないから、働いてもらえないかと言われたものだから…」
「そうだったのですか。でもセレンヌさんがここに居るって事は、ファリサと会えたのですね? 」
「は…はい…」
「それは良かったですね。あ、あの…俺とファリサの事はもう、知っていますか? 」
「はい。号外でしりました…」
「そうでしたか。俺、あれから重大なことをしりました。セレンヌさんと、ちゃんと話したいと思っていたんです。時間、作ってもらえませんか? 」
辛そうな目をして俯いてしまったセレンヌ…。
「皇子様。…私はもういいので、ファリサを幸せにして下さい」
「何を言っているのですか? ファリサが、それを望んでいるともいますか? 」
「…私、表には出れませんから。…こんな私と、ファリサが関わっていてはいけないと思うので」
「そんな事はありません。とにかく、俺の話を聞いて下さい。今後をどうするのかは、話を聞いてからでも遅くはありません」
困ってしまいセレンヌは黙ってしまった。
「気づきましたよ、結婚式の時にファリサを見た瞬間に。いや、あの縁談の申し込みを見た時からずっと感じていました。何か深い事情がある事を。…ファリサは俺の為に一生残る傷を負ったのです。俺が…護ってあげられなかったから…」
「それは違います。あれは事故です。ファリサだって、皇子様のせいだなんて思っていません」
「そう言ってもらえると、救われる気がします。とりあえず、ちゃんと話をさせて下さい。俺はずっと、あの事件の事を探っていました。そしてあのウィーヌの決定的な証拠を、掴みましたから」
セレンヌはちょっと驚いた目をしてティンケルを見た。
「詳しい事はまた話します。必ずお時間下さい」
驚いた目のままセレンヌはそっと頷いた。
そのまま去って行ったセレンヌ。
ティケルはファリサの下へ向かった。
ティンケルが来ると、ファリサは申し訳なさそうに俯いていた。
「怪我が治るまで、ゆっくり休めばいい。何か考え事でもしていたのか? 」
「いいえ…別に…」
ファリサは使用人達が悪口を言っていた事を思い出した。
言われて当然だと思う事だが、実際に聞いてしまうとショックなものだった。
どしてティケルが優しくしてくれるのか疑問もある。
でも使用人が言うように、ティンケルがよそに女を作っても文句は言えないと覚悟はしている。
10憶で買われてきたのだから…。
ファリサがそんな事を思っていると、そっとティンケルが手を握ってくれた。
ちょっと可愛くない目をして、ファリサはティンケルを見た。
目を覚ましたセレンヌは、毛布が掛けられているのを見てちょっと驚いていた。
だが、夜中にケインが巡回にでも来てかけてくれたのだろうと思ってしまった。
眠っているファリサを見て、顔色が戻っているのを確認したセレンヌはそのまま病室を出て行った。
時刻はもすぐ7時を回ろうとしていた。
セレンヌが廊下を歩いてくると、反対側からティケルが歩いて来た。
朝日が差し込んできた廊下を歩い来たティンケルは、セレンヌに気づいて足を止めた。
セレンヌはティンケルに気づいたが、そのまま通り過ぎようとした。
「あの、待って下さい」
呼び止められ、背を向けたままセレンヌは立ち止まった。
「…セレンヌさんですか? 」
そう尋ねられ、ドキッとしたセレンヌ。
「やはりそうなんですね? 」
セレンヌは背を向けたままそっと頷いた。
「随分探しました。国立病院にいらしたなんて、びっくりしました」
「…ごめんなさい。…あれから、色々とあったので…。この病院の院長先生と、知り合いで…人手が足らないから、働いてもらえないかと言われたものだから…」
「そうだったのですか。でもセレンヌさんがここに居るって事は、ファリサと会えたのですね? 」
「は…はい…」
「それは良かったですね。あ、あの…俺とファリサの事はもう、知っていますか? 」
「はい。号外でしりました…」
「そうでしたか。俺、あれから重大なことをしりました。セレンヌさんと、ちゃんと話したいと思っていたんです。時間、作ってもらえませんか? 」
辛そうな目をして俯いてしまったセレンヌ…。
「皇子様。…私はもういいので、ファリサを幸せにして下さい」
「何を言っているのですか? ファリサが、それを望んでいるともいますか? 」
「…私、表には出れませんから。…こんな私と、ファリサが関わっていてはいけないと思うので」
「そんな事はありません。とにかく、俺の話を聞いて下さい。今後をどうするのかは、話を聞いてからでも遅くはありません」
困ってしまいセレンヌは黙ってしまった。
「気づきましたよ、結婚式の時にファリサを見た瞬間に。いや、あの縁談の申し込みを見た時からずっと感じていました。何か深い事情がある事を。…ファリサは俺の為に一生残る傷を負ったのです。俺が…護ってあげられなかったから…」
「それは違います。あれは事故です。ファリサだって、皇子様のせいだなんて思っていません」
「そう言ってもらえると、救われる気がします。とりあえず、ちゃんと話をさせて下さい。俺はずっと、あの事件の事を探っていました。そしてあのウィーヌの決定的な証拠を、掴みましたから」
セレンヌはちょっと驚いた目をしてティンケルを見た。
「詳しい事はまた話します。必ずお時間下さい」
驚いた目のままセレンヌはそっと頷いた。
そのまま去って行ったセレンヌ。
ティケルはファリサの下へ向かった。
ティンケルが来ると、ファリサは申し訳なさそうに俯いていた。
「怪我が治るまで、ゆっくり休めばいい。何か考え事でもしていたのか? 」
「いいえ…別に…」
ファリサは使用人達が悪口を言っていた事を思い出した。
言われて当然だと思う事だが、実際に聞いてしまうとショックなものだった。
どしてティケルが優しくしてくれるのか疑問もある。
でも使用人が言うように、ティンケルがよそに女を作っても文句は言えないと覚悟はしている。
10憶で買われてきたのだから…。
ファリサがそんな事を思っていると、そっとティンケルが手を握ってくれた。
ちょっと可愛くない目をして、ファリサはティンケルを見た。