10憶で始まった結婚は○○だった
「…火事で両親が死んでしまって、全てを奪われて俺は児童施設に送られた。…ずっと諦めていた俺を、国王様が養子に迎えてくれた。…周りはずっとバカにしていたが、俺にとっては大逆転だと思った。お前の事探せるし、俺の両親を殺したウィーヌを逮捕できると思った。…お城に来てから、俺はずっとお前が誘拐されてた事も、俺の家が火事になった事も調べていた。…やっと確証がつかめた時に、あの縁談か届いたんだ。…10憶も出してまで、姿を隠してまで王室に嫁がせたいのはきっと深い事情があると感じた。でも、そんな事を話したって誰も納得しないし、反対しかしないのは分かっている。だから、10憶に釣られて決めた事にしたんだ。…結婚式の時、お前の事を見た瞬間に気づいた。…あの時のファリサだと…」
なにこれ…。
覚えていたの? こんな自分の事…。
誘拐されて、ずっと閉じこめられていて。
もう会えない人だって諦めていたのに…。
自由になれた時、もう手の届かない所にいる人だからってあきらめていたのに…。
お城に来たのは…国王様を殺すために来たのに…。
まさかの展開に、ファリサはこれは夢ではないか? と思った。
左目に手をあてているファリサの手に、ティケルが手を重ねてきた…。
「ごめんな、俺の為にこんな傷負わせて…」
「ち、違います! …皇子様のせいじゃないと思われ…。これは、ただの事故であるわけで…誰のせいでもないと思われ…」
「お前って優しいよな。怪我した時だって「大丈夫、気にしないで」って言ってくれていたもんな。「あなたが怪我をしなくてよかった」なんて言ってくれて。その優しさに、俺は随分救われた…」
「…その時は、そう思っただけであって…。この傷を、悔やんだことは一度もないわけで…」
そっとファリサを見つめてティンケルは、優しく微笑んだ。
「俺さっ、今すげぇ幸せなんだ。ずっと好きな子と結婚できて…やっとつながることが出来て…。この幸せを永遠に、手放したくないと思っている…」
どう答えたらいいのだろう。
ずっと思っていた事と違うから…。
こんな事になるなんて考えてもいなかったわけで…。
「とりあえず、今はゆっくり休め。話は、元気になってからだ」
何となく曖昧だが、ファリサは小さく頷いた。
ファリサの左目の傷。
それは、ティンケルを庇って負った傷。
今から15年ほど前。
ファリサとティンケルが初めて出会って、数日後だった。
森の中で遊んでいたティケルとファリサ。
楽しそうに笑ってあ遊んでいると、光るものが飛んできた。
ファリサはティケルに、その光るものが当たると思ってサッと前に庇うように出てきた。
光るものは鋭い勢いで、ファリサの左目をかすって土に刺さった。
刺さった光るものは、弓矢の矢だった。
遠くで狩りを楽しむ大人の声が聞こえてきた。
どうやらこの矢は、貴族たちが狩りを楽しんでいて腕の悪い貴族が射ったもののようだ。
ハッキリと誰なのかはわからず、大人の声が遠ざかって行った。
ファリサが左目から多量の出血を流しているのを見たティンケルは、真っ青になった。
(大丈夫だよ)
痛みをこらえてファリサは笑って答えた。
血相を変えたティンケルが、そのままファリサを抱きかかえ家まで連れて行った。
家にはセレンヌがいて、すぐに国立病院へ連絡して連れて行った。
ケインが処置してくれたが、どうやら矢が勢いついてかすった事か深い傷になってしまったようだ。
目に当たらなかったのが不幸中の幸いだった。
瞼の横をかすった矢が残した傷跡は、とても深く3針ほど縫うことになった。
ティンケルは自分を庇って怪我をしたと、ずっと自分を責めていたがファリサが「大丈夫だよ。ティンケル君が怪我しなくてよかった」と言ってくれていた。
その日以来、ティンケルはずっとファリサを護ると決め想いが膨らむ一方だったのだ。
ティンケルが帰った後。
ファリサは一人になると、後悔の気持ちでいっぱいになった。
なにこれ…。
覚えていたの? こんな自分の事…。
誘拐されて、ずっと閉じこめられていて。
もう会えない人だって諦めていたのに…。
自由になれた時、もう手の届かない所にいる人だからってあきらめていたのに…。
お城に来たのは…国王様を殺すために来たのに…。
まさかの展開に、ファリサはこれは夢ではないか? と思った。
左目に手をあてているファリサの手に、ティケルが手を重ねてきた…。
「ごめんな、俺の為にこんな傷負わせて…」
「ち、違います! …皇子様のせいじゃないと思われ…。これは、ただの事故であるわけで…誰のせいでもないと思われ…」
「お前って優しいよな。怪我した時だって「大丈夫、気にしないで」って言ってくれていたもんな。「あなたが怪我をしなくてよかった」なんて言ってくれて。その優しさに、俺は随分救われた…」
「…その時は、そう思っただけであって…。この傷を、悔やんだことは一度もないわけで…」
そっとファリサを見つめてティンケルは、優しく微笑んだ。
「俺さっ、今すげぇ幸せなんだ。ずっと好きな子と結婚できて…やっとつながることが出来て…。この幸せを永遠に、手放したくないと思っている…」
どう答えたらいいのだろう。
ずっと思っていた事と違うから…。
こんな事になるなんて考えてもいなかったわけで…。
「とりあえず、今はゆっくり休め。話は、元気になってからだ」
何となく曖昧だが、ファリサは小さく頷いた。
ファリサの左目の傷。
それは、ティンケルを庇って負った傷。
今から15年ほど前。
ファリサとティンケルが初めて出会って、数日後だった。
森の中で遊んでいたティケルとファリサ。
楽しそうに笑ってあ遊んでいると、光るものが飛んできた。
ファリサはティケルに、その光るものが当たると思ってサッと前に庇うように出てきた。
光るものは鋭い勢いで、ファリサの左目をかすって土に刺さった。
刺さった光るものは、弓矢の矢だった。
遠くで狩りを楽しむ大人の声が聞こえてきた。
どうやらこの矢は、貴族たちが狩りを楽しんでいて腕の悪い貴族が射ったもののようだ。
ハッキリと誰なのかはわからず、大人の声が遠ざかって行った。
ファリサが左目から多量の出血を流しているのを見たティンケルは、真っ青になった。
(大丈夫だよ)
痛みをこらえてファリサは笑って答えた。
血相を変えたティンケルが、そのままファリサを抱きかかえ家まで連れて行った。
家にはセレンヌがいて、すぐに国立病院へ連絡して連れて行った。
ケインが処置してくれたが、どうやら矢が勢いついてかすった事か深い傷になってしまったようだ。
目に当たらなかったのが不幸中の幸いだった。
瞼の横をかすった矢が残した傷跡は、とても深く3針ほど縫うことになった。
ティンケルは自分を庇って怪我をしたと、ずっと自分を責めていたがファリサが「大丈夫だよ。ティンケル君が怪我しなくてよかった」と言ってくれていた。
その日以来、ティンケルはずっとファリサを護ると決め想いが膨らむ一方だったのだ。
ティンケルが帰った後。
ファリサは一人になると、後悔の気持ちでいっぱいになった。