10憶で始まった結婚は○○だった
死の真相
今から15年前。
日に日に弱ってゆく父と母を見ていたサーチェラスは、何かおかしい と感じていた。
その頃、ミネルが亡くなってサーチェラスには再婚の話しが来ていたが、誰とも再婚しないと言ってすべて断ていた。
だがウィーヌは結婚していた貴族と別れ、毎日のようにお城に来るようになっていた。
そしてサーチェラスの父と母によく、お菓子などを持って来て一緒にたべていた。
ウィーヌからの差し入れを食べるようになってから、日に日に弱って行く父と母を見て何かあると感じていた。
ある日。
ウィーヌが帰った後、突然、サーチェラスの両親は倒れた。
病院へ運ばれてから数時間後に息を引き取った。
死因は心不全だった。
納得でき居ない死因。
両親を一度に亡くしたサーチェラスは、暫く笑うことが少なくなり口数も減っていた。
ずっとミネルの事ばかり考えていたサーチェラスは、両親に真実を問いかける余裕がなかった。
しかし今は、ミネルが生きている事を確信してようやく心の余裕が出来た事からやっと死の真相を両親に問いかけることが出来たのだ。
問いかけらサーチェラスに、ゆっくりと見えてきたのは15年前にウィーヌがサーチェラスが留守中にお城にやって来た光景だった。
ウィーヌは高級菓子を持って来て、サーチェラスの両親に食べさせた。
紅茶を飲みながら魔女のような怖い笑みを浮かべて、愛想を振りまいているウィーヌ。
しばらくしてウィーヌは帰って行った。
ウィーヌが帰った後、サーチェラスの両親は顔色を変えて倒れた。
発見した使用人が慌てて人を呼びに行き、サーチェラスの両親は病院へ運ばれた。
病院に運ばれたサーチェラスの両親は、数時間後に「心不全」で死亡した。
外出していたサーチェラスが病院に駆けつけたときは、既に両親は死亡した後だった。
目を開けたサーチェラスは少し考えこんだ。
ウィーヌが持て来たお菓子は、両親が死亡した後にもウィーヌから送られてきていたがサーチェラスは手を付けないまま捨てていた。
「そう言えば、この前ウィーヌ婦人がお城に来た時も。同じお菓子を持って来ていたと…」
そう呟いたサーチェラスがふと、足元を見ると。
墓の石がずれているのが目に入った。
「これは…」
膝をついて確認すると、明らかに石がずれているのが判る。
十字架の後ろ側に目をやると。
なんだか白いものがはみ出ているのが目に入った。
「あれは…」
お墓の後ろ側に回り、サーチェラスは白いものを確認した。
手に取ってみると、それはシーツのようなものだった。
そのシーツに触れるとサーチェラスは、ハッと何かを感じた。
「ブッドル! 」
サーチェラスに呼ばれて、近くで待っていたブッドルが走ってきた。
「国王様、どうかなさいましたか? 」
「ブッドル、ちょと手伝って頂けませんか? この墓石を動かしたいのです」
「はい、畏まりました」
ずれている墓石をサーチェラスとブッドルでかかえた…。
すると!
中にシーツにくるまれたファリサがいた。
「ファリサ? 」
ファリサを引き上げたサーチェラスは、驚きのあまり茫然となってしまった。
ブッドルはファリサの脈を確認した。
「大丈夫です。息はあります」
「このまま、お城に連れて行きます。病院では、また狙われます。ケイン先生には、お城に来てもらうように連絡して下さい」
「畏まりました」
そのままファリサを抱きかかえ、サーチェラスは車に乗り込んだ。
ブッドルと一緒にお城に戻ってきたサーチェラスは、ファリサを自分の部屋に連れて行き寝室に寝かせた。
ちょっと青い唇をしていたファリサだが、赤みを取り戻し顔色も戻ってきた。
体が冷えていたファリサに布団をかけたサーチェラスは、ちょっと涙ぐんでいた。
「…申し訳ございません。…あんな冷たい場所に…」
ファリサの手を握りしめたサーチェラスは、涙が溢れてきた。
「…神様が教えてくれたのですね、貴女の居場所を…。良かった…見つかって…」
さっきまで呼吸が浅かったファリサだが、だんだんと正常な呼吸に戻ってきた。
20分ほどして、ケインがやって来た。
「申し訳ございません。何者かが、防犯カメラを切断したようで…」
「もういいですよ、ケイン先生。ファリサが無事だったのですから」
「はい…」
「病院は危険です。後は、お城で静養させます。元気になるまで、私が見ておりますのでご安心下さい」
「畏まりました」