10憶で始まった結婚は○○だった
その後。
ケインが診察して、特に異常は見られなかった。
ぐっすり眠っているファリサを連れ出したのだろうと、判断された。
診察が終わると、ケインはサーチェラスに大きめの封筒を差し出した。
「こちらは、先日ご依頼頂きました調査の結果が入っております」
「有難うございます」
封筒を受け取ったサーチェラスは、中の書類を見た。
「…なるほど、そうでしたか。…」
書類を見て納得しているサーチェラスを見て、ケインは不安そうな目をしていた。
「ご心配なくケイン先生。これは、確認したかっただけであり誰かを責める為のものではありません」
「はい…」
「ご安心下さい。危ないものは、処分しておりますから」
「そうですか…」
「それより、もう1つ調べて頂きたいものがあるのですが」
そう言って1つの箱を差し出したサーチェラス。
「この箱の中は、おそらく普通のお菓子です。ですが、そのお菓子の中にきっと不審なものが入っていると思うのです」
「不審な物ですか? 」
「はい。15年前に、父と母が亡くなった時。これと同じお菓子を、倒れる直前に食べていたようなので」
「そう言わますと、確かあの時。胃の中から消化しきれていない物が検出されておりました」
「そうだったのですね」
「お預かりします」
箱を受け取ったケインは、少し重い表情をしていた。
「ケイン先生。何も責めませんから、そろそろ本当の事をお話しして頂けませんか? 」
「本当の事ですか? 」
「はい。ケイン先生は、ずっと前からファリサの事を知っていますよね? 」
尋ねられうると、ケインは押し黙ってしまった。
「もういいのですよ、ケイン先生。隠し事をしていると、そこに余計なエネルギーを使わなくてはなりませんので。辛くなります。ミネルの事を、ずっと隠しているのは深い事情があったからですよね? あの火事で…ミネルは、顔に大火傷を負った。だから、もう表に出られないこのまま死んだ事にしてほしい。そう言われたのですね? 」
どうして知っているの?
誰にも話していないのに…なぜ?
驚いた目をしたまま、ケインはただ黙っていた。
「驚かせてしまって、申し訳ございません。実は、先日の事ですが。偶然見てしまったのです。病院の屋上で、ファリサとぺリシアさんがある人に会っているのを」
ある人と聞いたケインの顔色が変わった。
まさか…知られてしまったの?
セレンヌの事…。
そう思ったケインは息を呑んだ。
「初めは偶然でしたが、病院のロビーでお見掛けしました。とても痛々しい姿の先生を…。でも、患者さんにはとてもお優しいようですね。小さな女の子が、嬉しそうな目をして話してる姿を見ました。…あの日は何となくですが、病院の屋上へ行かなくてはならない気がしたのです。それで、暫く屋上で様子を見ていたのです。そうしたら、ぺリシアさんとファリサが現れて。痛々しい先生と、親密なお話しをされていましてね。遠くから見たときに、感じた胸の痛みの原因がハッキリ分かりましたよ」
しられてしまったのか…。
ずっと25年間隠してきたのに…。
ケインはギュッと唇をかみしめた。
「灯台下暗しとは、この事を言うのですね。ずっと信じていて、本当に良かったと思いました。ファリサが入院した晩に、消灯後に様子を見に行ったのですが。その時、その先生が傍にいましてね。マスクの下にある火傷の跡も確認しましたし。その火傷の跡から、何があったのかを見せてもらいました」
え? なにを言っているの?
ケインは半分信じられない顔をしてサーチェラスを見た。
サーチェラスはそっと微笑みを浮かべた。
「驚かせてしまったようですね。私には、ちょっと特殊な力がありましてね。死者の声が聞けたり、相手に触れると辛い過去を見ることが出来たりと。人には見えないものが見えるのです。この力は、公にしていませんが。きっと、母の血筋だと思うのです」
「国王様のお母様ですか? 」
「ええ、私の母は地底人だったので。特殊な力を持っていました。よく、人の死を予測したり。亡くなった人と対話したりしていました。私にも、そんな母の能力が受け継がれているのですね。…もっと早く、父と母と話していればこんなに遠回りしなかったのかと今更ながら後悔しています。ミネルがいなくなって、死んだ事を信じられなくて。ミネルは生きていると、そればかりに意識が向いていたので心の余裕がありませんでした。今やっと…父と母とも話せるようになりました」
そんなことが…。
予想外の事に、ケインは驚くばかりだった。
ケインが診察して、特に異常は見られなかった。
ぐっすり眠っているファリサを連れ出したのだろうと、判断された。
診察が終わると、ケインはサーチェラスに大きめの封筒を差し出した。
「こちらは、先日ご依頼頂きました調査の結果が入っております」
「有難うございます」
封筒を受け取ったサーチェラスは、中の書類を見た。
「…なるほど、そうでしたか。…」
書類を見て納得しているサーチェラスを見て、ケインは不安そうな目をしていた。
「ご心配なくケイン先生。これは、確認したかっただけであり誰かを責める為のものではありません」
「はい…」
「ご安心下さい。危ないものは、処分しておりますから」
「そうですか…」
「それより、もう1つ調べて頂きたいものがあるのですが」
そう言って1つの箱を差し出したサーチェラス。
「この箱の中は、おそらく普通のお菓子です。ですが、そのお菓子の中にきっと不審なものが入っていると思うのです」
「不審な物ですか? 」
「はい。15年前に、父と母が亡くなった時。これと同じお菓子を、倒れる直前に食べていたようなので」
「そう言わますと、確かあの時。胃の中から消化しきれていない物が検出されておりました」
「そうだったのですね」
「お預かりします」
箱を受け取ったケインは、少し重い表情をしていた。
「ケイン先生。何も責めませんから、そろそろ本当の事をお話しして頂けませんか? 」
「本当の事ですか? 」
「はい。ケイン先生は、ずっと前からファリサの事を知っていますよね? 」
尋ねられうると、ケインは押し黙ってしまった。
「もういいのですよ、ケイン先生。隠し事をしていると、そこに余計なエネルギーを使わなくてはなりませんので。辛くなります。ミネルの事を、ずっと隠しているのは深い事情があったからですよね? あの火事で…ミネルは、顔に大火傷を負った。だから、もう表に出られないこのまま死んだ事にしてほしい。そう言われたのですね? 」
どうして知っているの?
誰にも話していないのに…なぜ?
驚いた目をしたまま、ケインはただ黙っていた。
「驚かせてしまって、申し訳ございません。実は、先日の事ですが。偶然見てしまったのです。病院の屋上で、ファリサとぺリシアさんがある人に会っているのを」
ある人と聞いたケインの顔色が変わった。
まさか…知られてしまったの?
セレンヌの事…。
そう思ったケインは息を呑んだ。
「初めは偶然でしたが、病院のロビーでお見掛けしました。とても痛々しい姿の先生を…。でも、患者さんにはとてもお優しいようですね。小さな女の子が、嬉しそうな目をして話してる姿を見ました。…あの日は何となくですが、病院の屋上へ行かなくてはならない気がしたのです。それで、暫く屋上で様子を見ていたのです。そうしたら、ぺリシアさんとファリサが現れて。痛々しい先生と、親密なお話しをされていましてね。遠くから見たときに、感じた胸の痛みの原因がハッキリ分かりましたよ」
しられてしまったのか…。
ずっと25年間隠してきたのに…。
ケインはギュッと唇をかみしめた。
「灯台下暗しとは、この事を言うのですね。ずっと信じていて、本当に良かったと思いました。ファリサが入院した晩に、消灯後に様子を見に行ったのですが。その時、その先生が傍にいましてね。マスクの下にある火傷の跡も確認しましたし。その火傷の跡から、何があったのかを見せてもらいました」
え? なにを言っているの?
ケインは半分信じられない顔をしてサーチェラスを見た。
サーチェラスはそっと微笑みを浮かべた。
「驚かせてしまったようですね。私には、ちょっと特殊な力がありましてね。死者の声が聞けたり、相手に触れると辛い過去を見ることが出来たりと。人には見えないものが見えるのです。この力は、公にしていませんが。きっと、母の血筋だと思うのです」
「国王様のお母様ですか? 」
「ええ、私の母は地底人だったので。特殊な力を持っていました。よく、人の死を予測したり。亡くなった人と対話したりしていました。私にも、そんな母の能力が受け継がれているのですね。…もっと早く、父と母と話していればこんなに遠回りしなかったのかと今更ながら後悔しています。ミネルがいなくなって、死んだ事を信じられなくて。ミネルは生きていると、そればかりに意識が向いていたので心の余裕がありませんでした。今やっと…父と母とも話せるようになりました」
そんなことが…。
予想外の事に、ケインは驚くばかりだった。