10憶で始まった結婚は○○だった
 しばらく様子を見ていたウィーヌ。

 様子を見ていると、ファリサがサーチェラスにそっくりに見えてきたウィーヌ。


 子供の怪我が治り病院に来る理由が亡くなったウィーヌは、子供にお菓子を食べさせた。

 そのお菓子はサーチェラスの両親に贈ったお菓子と同じものだった。


 お菓子を食べると子供は急に体調を崩し始めた。病院に運ばれると数日入院する事になった。

 ウィーヌは入院中も元気になるようにと、子供にお菓子を食べさせていた。


 入院してから10日後に、ウィーヌの子供は亡くなった。
 死因は心不全だった。


 子供が亡くなった時、ウィーヌはまた不敵に笑っていた。


 そして…。
 子供が亡くなり数日後に、ウィーヌは病院にまたやって来た。

 その時ファリサは病院によく手伝いに生きていたようで、雑用の仕事を手伝ってシーツ交換などをよくやっていた。

 その日もファリサはせっせとシーツ交換を手伝っていた。


 病室でシーツ交換をしているファリサを見たウィーヌは、分からないようにファリサに近づきシーツでくるんでそのままファリサを連れ去った。

 まだ小さかったファリサだった為、女性のウィーヌでも軽々と連れて行けた。


 それからずっと。
 ウィーヌはファリサを監禁していた。


 泣き叫ぶファリサに罵声を浴びせて怒鳴りつけ、泣きやまないと鞭でぶったりしていた。

 そのうち泣くことを諦めたファリサは何も喋らなくなった。

 ウィーヌはそんなファリサを奴隷のように扱い、食事の用意や屋敷の掃除をさせて使用人のように扱っていた。
 決して外へは出さない事にして、監禁状態でこき使っていた。
 気に入らないと殴るけるの暴行をはたらき、寒い冬の中薄着でファリサを外に放り出していた事もあった。

 生かさず殺さず状態でいつもファリサに

「お前は道具。将来王室に嫁いでもらい、王室の財産全てを私に渡してもらうための道具よ」
 
 と言っていた。

 
 ファリサを監禁してから半年ほどして、ぺリシアと再婚の話しが届き腕気にの弁護士ならお金も持っていると思い再婚を承諾した。

 結婚式をしないまま入籍だけ済ませ、ぺリシアは殆ど仕事で家にいなかった。

 ウィーヌには好都合で、お金さえ持って来てくれればそれでいいと言って特にぺリシアが家にいなくても何も言わないまま、一緒にご飯を食べたのは数えるくらいで殆ど一緒にいなかった。

 だがある日。
 ファリサが18歳になる頃。

 帰ってこない筈のぺリシアが帰って来たことがあり。
 その時逆上したウィーヌが、ファリサを寒い中外へ放り出している所に帰って来たぺリシア。

 大きくなったファリサを見て、誘拐されたファリサだとすぐに分かったぺリシアはそのままファリサ助け出した。

 そしてウィーヌに離縁を申し出た。
 離縁に応じないウィーヌにぺリシアは

「実は入籍はしていない。私は初めから、結婚の意思はなかった。ただ、この子を…ファリサを助けたかっただけだ」

 と言った。

 そのままファリサを連れて行くぺリシアを、黙って見ていたウィーヌ。
 監禁罪にでも何でもしてくれればいい。

 そう思っていたがそれ以来音沙汰なしになり、何も連絡もなかった。


 ティンケルの結婚報道が号外で流れて、結婚式当日に相手の名前が「ファリサ」である事が報じられ、ファリサがティンケルと結婚したことを知ったウィーヌはそれを利用しようとお城に押しかけてきたがそれも失敗したのだ。

 遠い昔を思い出しながら、ウィーヌはフッと笑った。

「あーあ。…何人殺してきたかしら? 」


 お酒の横に置いてある、赤く小さな瓶に目をやったウィーヌは不敵に笑った。

「アレが随分と役に徹てくれたわね。…みんな心不全で死んでくれたし…。邪魔者はいなくなったはずなのに…。なんで私は…幸せになれないのかしら…」


 赤い便を手に取ったウィーヌは、少しだけ悲しげな目をした。


「いつも比べられ、誰も私を認めなかった。王室に嫁げば、認めてもらえるってそれだけを信じて生きて来たのにそれも奪われて…邪魔な奴らは死んでもらったのに…なんで幸せになれないんだろう…」


 
 ピンポーン。
 チャイムの音にウィーヌは、ん? と玄関を見た。


 
 使用人が玄関の扉を開けると。

 そこには2人の男性が立っていた。

「警察の者です」

 と言って手帳を見せた男2人。

 刑事課の男性だった。


「この屋敷の党首であるウィーヌ婦人に、逮捕状が出ております」

 使用人は驚いた目のまま茫然となった。


 2人の刑事は屋敷の中へ入って行った。




 
 足音に、ウィーヌは何事かと振り向いた。


 2人の刑事がリビングに入ってきて、逮捕状をウィーヌに見せた。

「ウィーヌ婦人。殺人未遂並びに誘拐容疑で逮捕状が出ております。ご同行願います」


 フン! と鼻で笑ったウィーヌ。
 だが、素直に立ち上がった。

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