10憶で始まった結婚は○○だった
刑事が手錠をかけると、プライドの高いウィーヌ平然を装い憮然となった。
しかし…
どこかホッとした目をしているようにも見えた。
刑事に連れて行かれるウィーヌを、使用人達が驚きの目で見ていた。
警察に連れて行かれたウィーヌは、黙秘を通していた。
なにを聞かれても何も語ろうとしない。
そんなウィーヌに、心を開くように歩み寄ってゆく刑事もいた。
宥められるとウィーヌは
「全部私がやったわ」
とだけ言った。
それ以外は口を閉ざしてしまったウィーヌ。
警察の下には25年前、ウィーヌがミネルに送った手紙も提出されていた。
その手紙を見せられると、ウィーヌは憮然とした態度で笑った。
(大切なお話がございます。何度もお城にお邪魔した時にお話しする事でしたが、これはミネル様だけにお話ししたい事でございます。皇子様の重要な秘密なのです。このせいで、お2人の間には子供が授からないと予測されます。そして、重大なことなのですが。私が連れて行った子供は、実は皇子様との間に授かった子供です。ミネル様の子供が授からない事から、私に代わりに産んでほしいと頼んでこられました。子供が大きくなったら、王室に迎え入れると。この事をきちんとミネル様にお話ししたいと思います。どうか、皇子様には決してお話にならずにお一人で馬小屋に来て下さい。時刻は17時。この手紙が届いたその日の17時です。馬小屋なら人も来ませんので、お話が出来ます。必ず来て下さい。お待ちしております。 ウィーヌ)
ちょっと古くなっている手紙だが、自直筆で書いてあり郵送ではなく手渡しされたもののようだ。
「ばかよね。こんな手紙で、真に受けて本当にくるんだもの。おかげで、すんなり殺すことが出来たわ。馬小屋に閉じ込めて、火をつけてあっという間だったわね」
悪びれる事もなく憮然としてウィーヌは言った。
「25年も見つけられない警察って、相当なバカって思っていたわ。目撃さやがいたとか言われて、ヒヤッとしたから。そいつらはみーんな殺したわ。私が特製のお菓子をお送ってね」
狂ったように笑いだしたウィーヌ。
その笑いは悲しい笑いにも聞こえた。
その後は、次から次へと自供を始めたウィーヌ。
ウィーヌは大学は薬学部だった。
薬には詳しいく毒薬の作り方も知っている。
まず初めに自分の両親をゆっくりと殺したウィーヌ。
そして次には夫を殺して、次には自分の産んだ子供を同じ手段で殺したウィーヌ。
そしてサーチェラスの両親にも、同じ手段でお菓子を食べさせて殺した。
ファリサを誘拐したとき、目撃証言をしたティンケルの両親を、屋敷に火を放ち火事で焼き殺したのもウィーヌだった。
「だってみんな邪魔だったんだもの。私を認めてくれないし…消えてもらうしかないじゃない」
完全に居直ってウィーヌはそう言った。
警察では狂っているとしか見られなかった。
お菓子の中には毒を入れたと自供しているウィーヌ。
その毒の入った小瓶はウィーヌの屋敷にある庭の花壇から、発掘されている。
ブッドルがウィーヌの屋敷の使用人をお金で雇い調べさせたことから、発掘され警察に提出されている。
そして最近、ウィーヌがお城に来た時に持って来たお菓子にも同じ毒性の者が微量ずつ入っていた事も明らかになっている。