10憶で始まった結婚は○○だった
秘めた愛が奇跡を起こすとき
「姿がどうであっても、私には判りますよ。貴女が…ミネルだと…」
ミネルと呼ばれ、セレンヌはちょっと怯んだ目をしてそっと顔を背けた。
「もう、かくれんぼは終わりです。隠れていたのは、顔を見られたくなったからですね? 」
優しい笑みを浮かべ、サーチェラスはそっとセレンヌの頬にマスク越しに触れた。
「…火傷の跡なんて、いくらでも私が消しますから…」
ぽわっと。
暖かいエネルギーがセレンヌの頬を覆った。
「もう大丈夫ですよ。貴女をずっと縛り付けていたものは、消え去りましたから。次は、ここですね? 」
今度はセレンヌの右目に触れたサーチェラス。
また同じように暖かいエネルギーがセレンヌ右目を包み込んだ。
「…生きていてくれて、有難うございます…」
見つめるサーチェラスの目が潤んできた。
「貴女が生きるのを諦めなかった。だから私は、大切な宝物に会えました。そしてその宝物は、愛する人に再び巡り会わせてくれました。…私が愛したのは貴女の顔ではありません。貴女の魂です…。だから分かりました、貴女がミネルだと。…私が心から愛しているミネルだと…」
そっとサーチェラスはセレンヌのマスクを外した。
すると、マスクの下にあった口元と頬の火傷の跡が綺麗に消えていた。
それを見たぺリシアは驚いてポカンとなってしまった。
「さぁ、もう片目ではなく両目で見て下さい…」
ゆっくりとセレンヌの眼帯を外したサーチェラス。
眼帯の下は火傷の跡が消えて綺麗な目元に戻っていた。
セレンヌはいつもの重みを感じなくなり、信じられない顔をして口元と頬に触れた。
そして目にも触れてみた。
「…これは…。どうしたこと? …」
「安心して下さい。もう、火傷の跡は消しましたから」
「え? …」
「貴女が戻ってこなかったのは、火傷を負った酷い顔を私に見せたくなかったからですね? 」
「は…はい…」
「それでは、もうその必要はありませんよね。火傷の跡は、すっかり消えましたから」
信じられない顔をしているセレンヌ。
あんなに酷かった火傷の跡が、すっかり消えている…。
こんなことがあるなんて…。
「名前を変えていたのは、ちょっと反則ですよ。随分と探したのですから、貴女の事を。私はずっと信じていましたよ、貴女は生きていると。姿が見えなくても、ずっと傍に貴女を感じていました」
潤んでいたサーチェラスの目から涙が滴り落ち、頬につたった。
そんなサーチェラスを見ていると、セレンヌも自然と涙が溢れてきた。
「戻って来てくれますね? 私の下に。もう、私も随分年を取りましたので、一人でいるのは嫌なのです。貴女に傍にいて欲しいです。…愛していますから…ずっとこの気持ちはブレた事はありません…」
「…ごめんなさい…」
小さく謝ったセレンヌ。
「謝る事なんで何もありません。貴女には感謝しかありませんから。ファリサを産んでくれて、本当に有難うございます。一番辛い時に、産む決意をしてくれただけでも胸がいっぱいになります」
「…貴方にもらった大切な命を、産みたいと思いました。…大人になったら、王室にお返しするつもりで育ててきました…」
「返すなんて、ファリサは物じゃないですよ。でも、運命の巡り会わせですね。これも」
そっとセレンヌを抱きしめたサーチェラス。
ぺリシアは完全に負けたと思った。
いや、初めから勝手いなかったのは分かっていた。
ミネルの気持ちはサーチェラスから動かないと分かっていた。
たとえ一緒になってもずっと、自分には向かないと分かっていた。
火傷の傷を治してしまうとは…
逆立ちしても叶わない。
ぺリシアはそう思った。
2人に気づかれないように、ぺリシアはそっと去って行った。
ミネルと呼ばれ、セレンヌはちょっと怯んだ目をしてそっと顔を背けた。
「もう、かくれんぼは終わりです。隠れていたのは、顔を見られたくなったからですね? 」
優しい笑みを浮かべ、サーチェラスはそっとセレンヌの頬にマスク越しに触れた。
「…火傷の跡なんて、いくらでも私が消しますから…」
ぽわっと。
暖かいエネルギーがセレンヌの頬を覆った。
「もう大丈夫ですよ。貴女をずっと縛り付けていたものは、消え去りましたから。次は、ここですね? 」
今度はセレンヌの右目に触れたサーチェラス。
また同じように暖かいエネルギーがセレンヌ右目を包み込んだ。
「…生きていてくれて、有難うございます…」
見つめるサーチェラスの目が潤んできた。
「貴女が生きるのを諦めなかった。だから私は、大切な宝物に会えました。そしてその宝物は、愛する人に再び巡り会わせてくれました。…私が愛したのは貴女の顔ではありません。貴女の魂です…。だから分かりました、貴女がミネルだと。…私が心から愛しているミネルだと…」
そっとサーチェラスはセレンヌのマスクを外した。
すると、マスクの下にあった口元と頬の火傷の跡が綺麗に消えていた。
それを見たぺリシアは驚いてポカンとなってしまった。
「さぁ、もう片目ではなく両目で見て下さい…」
ゆっくりとセレンヌの眼帯を外したサーチェラス。
眼帯の下は火傷の跡が消えて綺麗な目元に戻っていた。
セレンヌはいつもの重みを感じなくなり、信じられない顔をして口元と頬に触れた。
そして目にも触れてみた。
「…これは…。どうしたこと? …」
「安心して下さい。もう、火傷の跡は消しましたから」
「え? …」
「貴女が戻ってこなかったのは、火傷を負った酷い顔を私に見せたくなかったからですね? 」
「は…はい…」
「それでは、もうその必要はありませんよね。火傷の跡は、すっかり消えましたから」
信じられない顔をしているセレンヌ。
あんなに酷かった火傷の跡が、すっかり消えている…。
こんなことがあるなんて…。
「名前を変えていたのは、ちょっと反則ですよ。随分と探したのですから、貴女の事を。私はずっと信じていましたよ、貴女は生きていると。姿が見えなくても、ずっと傍に貴女を感じていました」
潤んでいたサーチェラスの目から涙が滴り落ち、頬につたった。
そんなサーチェラスを見ていると、セレンヌも自然と涙が溢れてきた。
「戻って来てくれますね? 私の下に。もう、私も随分年を取りましたので、一人でいるのは嫌なのです。貴女に傍にいて欲しいです。…愛していますから…ずっとこの気持ちはブレた事はありません…」
「…ごめんなさい…」
小さく謝ったセレンヌ。
「謝る事なんで何もありません。貴女には感謝しかありませんから。ファリサを産んでくれて、本当に有難うございます。一番辛い時に、産む決意をしてくれただけでも胸がいっぱいになります」
「…貴方にもらった大切な命を、産みたいと思いました。…大人になったら、王室にお返しするつもりで育ててきました…」
「返すなんて、ファリサは物じゃないですよ。でも、運命の巡り会わせですね。これも」
そっとセレンヌを抱きしめたサーチェラス。
ぺリシアは完全に負けたと思った。
いや、初めから勝手いなかったのは分かっていた。
ミネルの気持ちはサーチェラスから動かないと分かっていた。
たとえ一緒になってもずっと、自分には向かないと分かっていた。
火傷の傷を治してしまうとは…
逆立ちしても叶わない。
ぺリシアはそう思った。
2人に気づかれないように、ぺリシアはそっと去って行った。