10憶で始まった結婚は○○だった
 月日が過ぎて雨の多い梅雨の時期になった。


 あれからセレンヌはミネルと名前を戻した。
 病院は辞めて、今はずっとサーチェラスの傍にいて支えている。
 
 ミネルが生きていた事は国民にも公表された。
 あの火事でミネルが死んだとは信じられ無かった国民が多く、生きている事を公表するととても納得したくれる国民が多くいた。

 25年の間姿を消していた事情もちゃんと明かされ、すっかり火傷が消えているミネルに奇跡が起きたと大喜びの国民達。

 ずっと25年も一人で国を治めてきたサーチェラスに、敬意を払うばかりで王室への支持率もどんどん上がってきた。

 サーチェラスはミネルが戻ってきた事で、前より表情が穏やかになり笑顔も増えてきた。

 国王と王妃の幸せな姿は国の象徴でもある。
 幸せな笑顔を見ると国民達も幸せになれる。

 緑あふれる豊かなグリーンピアトに、平和が戻ってきたかのようだ。




 サーチェラスとミネルは落ち着いた頃。

 ティンケルとファリサの間に子供が授かった。

 現在2ヶ月目に入ったばかりだが、まだ悪阻は内容で落ち着いている様子。

 ファリサは眼帯をしなくなり、傷跡は前髪をぱっつんにして目のギリギリの長さにしてちょっと隠すようにしている。

 やっと公務にも同行するようになったファリサ。

 パレードが行われなかった事から、ファリサの顔をハッキリ見ていなかった国民はようやくファリサを見ることができ喜んでいる。


「ファリサ様って国王様とよく似ているよな」
「ん? 王妃様に似ていないか? 」

「でもファリサ様って、国王様と王妃様とは他人だよね? 」
「世の中似ている人がいるって言うけど、それか? 」

 
 国民の間でもサーチェラスに似ているファリサに気づいている人も多かった。

 

 ティンケルは何も聞かされていないが、ファリサの母親であるセレンヌがミネルであったことを知り何となく気づいいているようだが特に詳しく聞こうとはしなかった。

 とりあえず愛し合える家族なんだと思っているティンケル。
 ファリサもまだ話していないが、特にそこは問題ではないと思っている。


 新しい命も宿り新鮮な風が吹いて来たグリーンピアト城は、今日も和気あいあいと楽しそうである。




 一方。
 逮捕されたウィーヌは罪を認め現在裁判中である。
 刑が決まるのはもう少し先になるが、逮捕された時より穏やかな顔をしているウィーヌ。
 子供の頃からのコンプレックスから憎悪に変わり殺人を繰り返してきたのだと、警察では断定されている。



 そしてぺリシアは。
 あれから北グリーンピアトに戻って行った。
 グリーンピアトでも仕事依頼があるが、やはりフラレタ記憶が強いグリーンピアトより北グリーンピアトがいいと言い出して行ってしまった。

 ファリサの父親である事は変わりないからと言って、何かあればいつでも連絡をと言っている。


 ケインは院長から理事長に昇進した。
 だが不在が多く、噂では北グリーンピアトに言っている事が多いと言われている。

 もしやぺリシアと恋仲では? と噂されているが、真相は不明である。
 ケインは医師としてずっと独身をとおしている。
 老後一人でいるのは嫌だなぁとは話していたが?
< 59 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop