10憶で始まった結婚は○○だった
 1年後。

 季節が廻り再びグリーンピアトに梅雨の時期がやった来ようとしていた。
 今年は通の前に雨が多く、あまり雨が降らないのではないかと言われている。


 あれからティンケルとファリサの間に授かった子供が、寒い冬の2月に無事産まれた。
 男の子で名前をフェリオと名付けた。

 ティンケルと同じ髪色で顔立ちはファリサと似ている可愛い男の子。

 第一皇子の誕生に国民達も大喜び。

 結婚して2ヵ月足らずで子供を授かったティンケルとファリサに、サーチェラスはとても喜んで祝福している。


「随分と重たくなりましたね」

 フェリオを抱っこしてサーチェラスが嬉しそうに微笑んでいる。

「もう4ヶ月になるから、動きも多くなるから目が離せないわね」

 フェリオの頬に触れてミネルが言った。


「最近、飲む量が増えて母乳が足らないみたいなの」

 すっかりお母さんの顔になって穏やかな表情になったファリサ。
 出産で髪は短くしていたが、今はボブヘヤーまで伸びている。


「フェリオ、おいで」

 サーチェラスからフェリオを受け取ったティンケル。
 
 幸せいっぱいの穏やかな表情のティンケルは、すっかりお父さんの顔になっている。


 ティケルに抱かれたフェリオはとてもご機嫌である。


「ティンケル。そろそろ、即位してくれませんか? 私も、もう歳を重ねているので。そろそろ引退して、ミネルとのんびりしたいと思ているのですが」
「うーん。俺も、まだファリサと楽しみたいしフェリオとも思いきり遊びたいしなぁ」


 やれやれ。
 いつも即位の話をすると、ティンケルはまだ遊びたいと言ってなかなか承諾してくれないままである。


「もう少し待ってあげましょう。今が一番、楽しい時だもの。早くに子供も来てくれて、公務に追われるよりゆっくり過ぎさせてあげるのがいいと思われますから」

「確かにそうですね。子育ても大変ですから、も少し頑張りましょうか」


 顔を見合わせてサーチェラスとミネルは笑い合った。

 平和で暖かいエネルギーが流れているぎりーンピアト城。

 産まれてきたフェリオがこれからどんな物語を作ってくれるのか、とても楽しみである。
 ちなみにフェリオが不思議な力を受け継いでいるかどうかはまだ判らない。

 とにかく元気に育ってほしいと願うばかりである。


 


 10憶の大金につられて決まった結婚、それは〇〇だった。
 この〇〇の中に何を入れるのかはこれを呼んでくれているあなたが決めて下さい。

 〇〇の中にはきっと計り知れない宝物が入っている筈です。

 晴天の空が広がるグリーンピアト。
 そこには深くとても暖かい愛が広がっている。

 これからどんな物語が広がってゆくのか楽しみである。


 この幸せを永遠に…。


 END
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