シシトル
「シシトル」1話~3話までのプロット

第1話
時は18世紀後期、イギリスは産業革命の只中にあり、未だかつてない技術が多くの技術者・科学者達によって生み出されていた。中でもイギリス国王の勅命により秘密裡に開発された蒸気機関による粉氷船「霧の女神号」は、氷に閉ざされた極北の海でも航行が可能な最新鋭の船として、国王はじめ王立軍部から大きな期待を寄せられていた。当時欧米列強諸国は、新大陸の北部を通過し大西洋と太平洋を結ぶアジアへの最短航海ルートである「北西航路」を他国に先駆けて発見するため熾烈な争いを繰り広げており、国家の威信をかけて派遣された何人もの命知らずの探検家・冒険家が功名心に駆られて挑んだものの、戻っては来た者はなかった。勇猛果敢な青年としてその名を馳せるイギリス王立海軍海佐アンソニー・ウォートンは「霧の女神号」の副官として前人未踏の危険な任務を志願する。

第2話
アンソニーは幼少の頃に先の大戦に従軍した父親を亡くしていることから、父親の無二の親友グレゴリー・クレメンス卿に引き取られ、グレゴリーの子ギルバートとジェーンと同様の深い愛情を注がれて育った。アンソニーが生きてイギリスの地を踏めるか全く保証のない危険な任務に就こうとしていることを知り、グレゴリー、ギルバート、ジェーンはアンソニーを必死に引き留める。アンソニーの決意は固く、ジェーンはアンソニーの無事の帰郷を祈り、銀の鳩の飾りのついたペンダントをアンソニーに贈る。

第3話
アンソニーは勅命により「霧の女神号」の副官に任官され、船長や命知らずの勇敢な部下と共に大海原への旅に向かう。船旅の途中に三日三晩の大嵐に遭い航路を見失い真冬の極寒の海に投げ出され、「虹の女神号」と部下全員を失う。独り生きて“霧の島”へ流れ着き、海岸に倒れているところ、褐色の肌と黒曜石のような瞳を持つ美しい少女“宵の明星(イブニングスターまたは”イブ“)”に助けられる。イブは“霧の島”の住民で、風の音を聞き分け動物や植物の声の聞こえる祈祷師(メディスン)見習い。“霧の島”のしきたりにより、16歳の誕生日に見た夢を頼りに海岸でアンソニーを見つけ集落に連れ帰る。

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