貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~


「で? 娼館でなにか学んできたのか?」

 夜、寝所でジンが訊いてきた。

 なにを期待しているのですか、王よ。

 初夜もまだなのに。
 なにを学んでこれると思うのですか、と思いながら、アローナは言った。

「いえ、娼館の方々に、いろいろと相談に乗っていただきたかったのですが。
 結局、こき使われて終わりました」

「こき使われたって、お前が娼館でなんの役に立つのだ」

「いえ、カーヌーンを弾いたりですね」
と言うと、ジンは、

「……なんということをするのだ、お前は。
 店に客が来なくなって、賠償金を支払えとか言われたらどうするつもりだ」
と言ってくる。

「そんなことありませんよ。
 結構楽しんでらっしゃいましたよ、お父様」

「……なんだって?」
とジンが訊き返してきた。
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