貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~


「……来ませんね」

 アローナと(かしら)は、二人でなにもやって来ない海を眺める。

「インコも来ないし、鷹も来ないな」

 打ち寄せる波の音を聞きながら、アローナは頭を見上げて言った。

「いいえ、きっとインコは来ますよ」

「娘っ!
 お前の鷹もきっと来るだろうっ」

 おかしな友情が生まれた。

 そして、鷹は来た。

 船に乗って。

 というか、船に乗っているアローナの兄の肩に乗って。

 近くを通りかかった大きな船から下ろされた小舟には兄と鷹が乗っていた。

「おお、やはり、アローナではないか」

「兄ではないですか」

 何故、此処に、と思いながら、アローナは兄、バルトに言った。
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