貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
「アハト!
お前はなにをしておったのだっ。
お前がついていながら、アローナを逃がしてしまうとはっ」
レオに比べると、ずいぶん温厚な王であるジンもアローナの失踪により、怒り心頭に発していた。
「お言葉ですが、王よ」
最初は自らの失態に神妙な顔をしていたアハトだったが、すぐにそう言い返してこようとする。
アハトよ。
お前が父上に連れていってもらえなかったのは、そうやって一言言わねば気が済まないところが疎んじられたからじゃないのか、とジンは思う。
そして、そんなアハトをなんとなく側に置いている自分の方が、やはり、父より人がいいようだ、と思っていた。
謙るでもない態度で、広間に立つアハトは、
「こういう場合、逃げられる方にも問題があるんじゃないですかね?」
と言い放つ。
「なんだと?」