貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
街で屋台を眺めてみます
「はい、お給金」
ようやく帰れることになったアローナとジンは、エメリアから兵士たちと同額の小銭をもらった。
手のひらに数枚の硬貨を載せられたアローナは、ジンと二人、顔を見合わせる。
……ちょっと嬉しい。
アローナがにんまり笑っていると、ジンが言ってきた。
「アローナ。
城下の夜店なら、まだ開いてるぞ。
寄って帰ろうか」
「そうですねー。
あ、私、ピンク色のぐるぐるしたお菓子が好きです」
「なんだ。
ピンク色のぐるぐるしたお菓子って」
と話しながら、二人で馬車に乗る。
さよーならーと馬車の中から娼館のみんなに手を振るアローナたちを見送りながら、エメリアが呟いていた。
「あれが王と王妃か。
……平和な国になりそうね」
と。