貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
群青色の夜空にぼんやり白く浮かび上がるメディフィスの城。
馬車を引く馬の蹄の音を聞きながら、アローナが篝火に照らし出された城門と城を見ていると、ジンが言ってきた。
「アッサンドラも美しい街なのだろうな」
砂漠の遥か向こうにある懐かしい故郷を思い出しながら、……はい、とアローナは頷く。
「すまない。
里心がついてしまったか」
とジンが謝ってきた。
「いえ、兄もエンもたまには来てくれそうですしね」
鷹なんか、その辺をいつも旋回してそうだしな~、とアローナは満天の星が見える夜空を見上げた。