貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
「いっそ、そうであってくれたら……

 いや、それだとジン様が」

 ん? なにか訳ありのようだな、この人、と思ったとき、窓の外を旋回する鷹が見えた。

 幸い窓が開いている。

 アローナが合図すると、鷹が部屋に入ってきた。

 アローナを守るように、頭の上で羽ばたく。

 うわあああああっ、とフェルナンは怯えて後ずさった。

「こっ、殺さないでくれ~っ」

 いや、これ、餌もらえるかと思って、後ろで喜んで飛んでるだけなんだけど……。

 天井高くてよかった、と上を見上げるアローナと鷹に向かい、フェルナンは叫ぶ。

「殺さないでくれっ。
 私も……

 ジン様もっ。

 ああ、やっぱり、駄目だっ。
 私にジン様は殺せないっ」

 えっ?
 今、なんて……?

 機嫌のいい鷹に頭に乗られながら、アローナはフェルナンを見た。



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