貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
 実際、初めて行ったオアシスで浮かれていて、こんなことになったわけだし、と思ったとき、ジンが言った。

「もし、そうなら、程なく見つかるだろうしな」

 そうですね。
 程なく、此処で……。

 でも、この城で見つかるのもかなりマヌケな感じがしてきてますけどね、とアローナはワインをちびちびやりながら聞いていた。

「せっかく砂漠を越えてやってきたアローナ姫をそのまま帰らせるのも申し訳ないな。

 かと言って、王の座を追われた父の許に嫁がせるのも、アッサンドラとしては、なにか違うだろうしな。

 大事に育てた姫を泣く泣く送ってきたのだろうから」

 はい、それはもう、と父たちとの別れを思い出し、アローナがほろりと泣きそうになったとき、ジンが言った。

「私が姫を妃とするのが良いのだろうが……」

 ジンは窓の外を見ながら、いろいろと今後のことを模索しているようだった。
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