貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
 か、勝手に私の結婚話が進んでいる……と青ざめてジンを見上げていると、ジンは、ふっと笑い、
「なんだ、その不安そうな顔は。
 心配するな。

 妃をもらったからと言って、お前を市中に放り出したりはせぬ。
 一度、受け取った貢ぎ物だからな」
と言ってきた。

 ジ、ジン様。
 嬉しいんですけど。

 それは浮気ですよーっ。
 私に対する浮気ですよーっ。

「何故だろうな。
 刺客かもしれないのに。

 お前を手放す気にならぬのは」

 そう囁きながら、ジンは頬にかかっていたアローナの髪をその長い指先で持ち上げ、耳にかけてくれる。

 そのまま軽く頬に口づけてきた。

 戸惑いながらジンを見ると、
「……本当にお前は、なにも知らない生娘のように見えるな。
 今宵は、このまま寝るがよい」

 そう言って、ジンは恥ずかしそうに立ち上がる。
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