貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
 なんですか、その感じ。

 まるで私を大事にしてくださってるみたいに見えてしまうんですがっ。

 で、でもこれ、浮気ですよっ。

 私に対する浮気ですよっ。

 こんな貢ぎ物の私に入れあげて、私を形ばかりの妻にしようとかっ、
と照れたようなジンの顔に動揺し、アローナは混乱してしまう。

 じゃあ、とジンは出て行った。

 閉まった扉を見ていると、真横に立っていた人が言った。

「意外と王は純情ですね。
 王なのに」
と王族に対する偏見に満ち満ちたことを言ってくる。

 誰っ!?
とアローナは、いきなり現れたその人物を振り向いた。

 銀糸の髪の長身の女に見える美貌の男。

 シャナが立っていた。

 ひっ、ホンモノの暗殺者っ!

 アハト様に命じられて、役立たずの私を殺しに来たとかっ?
とアローナは身構える。




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