貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
「あなたがたがアハト様を殺さないのなら、今にも誰か殺しそうなアハト様に紹介状を書いてください。

 アハト様、王に気に入られたら、今度は、王のために暗躍して、政敵を始末させそうですからね」

 それもどうなんですかね……。

「えーと……。
 ちょっと考えさせてください」
とアローナは言った。

 すぐに断らなかったのは、この人、敵に回ったら怖そうだなと思っていたからだ。

 今も気配もさせずに、この部屋に現れたことだし、と思いながら、ふと気になって、アローナは訊いてみた。

「あの、いつからいたんですか?」

 シャナは小首を傾げたあとで、
「……ジン様があなたの頬に口づけたところは見てないです。
 そのあとくらいからですかね」
と言ってくる。

 見てますよね……。

 気をつかってくださったのでしょうかね、と思うアローナにシャナが言ってきた。

「まあ、お早めにご決断を。
 革新的な考えを持つ、年若き王を疎ましいと思っているのは、アハト様だけではありませんから。

 すでに他の者が雇った刺客が放たれているかもしれません。
 そういえば、さっき、天井裏で顔馴染みの刺客と出会いましたしね」

「そ、それはいつですか?」
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