貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
「姫様っ」
とアローナの従者一行の先頭にいた、若く可愛らしい侍女がアローナに駆け寄る。
玄関ホールで抱き合って再会を喜ぶ二人を見ながら、ジンは、
なんと。
本物のアローナ姫であったのか、と思っていた。
さすが高級娼婦は違う。
まるで深窓の姫のようだと思っていたのだが。
ほんとうに姫だったとは……。
「ご無事でよかったっ、姫様っ。
ほんとうに申し訳ございませんっ。
私が目を離した隙にっ」
とアローナにしがみ付いた侍女が泣き、アローナは微笑んでその背を軽く叩いてやっている。
ほんとうにアローナ姫なのか。
……だとすると、少し困ったことがあるな、とジンは思っていた。