貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
アローナたちの乗った馬車が、ぐるりと城下町を囲む堀の前にたどり着くと、ゆっくりと跳ね橋が下りてきた。
橋を渡って街の中に入ったアローナは驚く。
此処へ来るまでの荒涼とした風景とは違い、いきなり華やかな街が現れたからだ。
整備された石畳の道。
その沿道は花や食べ物を売る屋台であふれていた。
「メディフィスの都だ」
とアハトが教えてくれる。
えっ? 此処がっ?
噂に聞いてたのと全然違うっ、と馬車から外を眺めながらアローナは思った。
恐ろしい王様が支配する、戦と陰謀にまみれた強国だと聞いていたのに。
市民が圧政に苦しんでいる様子はなく、みな楽しげだ。