貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~


「フェルナン、あなたを脅していたのは、アハト様らしいですよ」
とアローナはフェルナンに言った。

 アハトが、あっ、何故、それをっ、という顔をする。

 いや、フェルナンが、命を狙われているかもしれない、いとこと王との間で板挟みになって、苦しんでいるようだったから教えたのだ。

「そうだったのですかっ」
と驚くフェルナンにアハトは慌てて、

「いやいや。
 私は結局、なにもしてはいないですからね、あなたの大事ないとこ殿には。

 いつか、なにかしろ。
 さもないと、いつかなにかするかもしれないぞと脅しただけです」
と言う。

 ふんわりだなあ、と思いながら、

「その脅迫、意味あるんですか」
とアローナが問うと、アハトは、

「棚ぼたで、もしかしたら、誰かがなにかするかもしれないではないですか。
 フェルナン様とか、フェルナン様の周りの人とか」
と訴えてくる。

「なんですか、それ。
 やるなら、もっとしっかりやらないと!」
とアローナはつい言っていた。


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