天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「・・他の皆さんはご意見ありますか?」
「いや確かにあんたの言う事も的を得てる。
ピッチャーの肩は消耗品だからな・・。」
「・・先生、質問いいですか?」
「はい、中村君。」
「正津も確かにここ1ヶ月で俺達も驚くほど力をつけてきたから、とても頼もしい後輩です。
でも例えば・・もし正津が打ち込まれて、
4回まで持ちそうになかったら、早めの憲伸との交代も考えてますか?」
「怪我や病気やメンタル不調などで、
僕が“続行不可能”と判断する以外は、
基本的には役割分担した回までは投げきってもらいます。」
「そうですか・・・。」
中村君の心配も最もだが、
もしかしたらこの男・・・
役割をハッキリさせて、
ゴールを明確に提示しておいて、
【責任感】を植え付けるつもりか・・?
目には見えない“気持ち”という名のバトンで繋がれる投手リレー。
[憲伸先輩に何としてでも繋げる]、[後輩の頑張りを無駄にするわけにはいかないス]
モチベーションの維持、
燃える闘魂の誘発。
・・・まぁ今私がそれを口に出したら、
[教頭あなたは馬鹿ですか?
なんですかその非科学的な精神論は。]
と一蹴されるのが容易に予想できるので、
ここはあえて黙る。