天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


―――――― 


“ガラガラ”


化学準備室の扉を開けると、
今日は闇実験をしていないのか・・

ノートPCにかじりついて何かを入力している様子だった。


「阿部先生。」


「・・・・今日は火災報知器鳴らしていませんよ。」


闇実験中だろうが、
ノートPC入力中だろうが、

話し相手を一切見ないというダメダメ社会人の前に座って、

無理矢理、視界に入り込む。



「阿部先生に折り入ってご相談があります。」


「・・・・何ですか?」


「単刀直入に言います。
野球部の顧問になって頂けませんか?」


「・・・・・ハッあり得ない。」


予想通りの回答が返ってくる・・。



「子供の青春ごっこに付き合っている暇は僕にはありませんよ教頭。」


「・・・・・・・・・・。」


「それに僕は“野球=スポーツ”程度の知識しか無い。

規約や指導法を覚える暇があったら、

“タイムマシン”や“どこでもドア”や、

“タケコプター”の開発に力を入れたほうがまだ良い。」


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