天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「お前ら2人ともクセが強いな!!」
龍ちゃんが、私・・いやみんなが感じたファーストインスピレーションを代弁してくれて、
和やかな笑いが起こった。
もう一瞬で・・ゴールデンルーキー2人がウチらと打ち解ける!
「さて・・では福留君、岩瀬君。
教頭から説明を受けていると思いますが、
早速、今週土曜日から試合に出て、
君達の実力を観察させて頂きます。」
自己紹介が終わった後、
今日も相変わらず白衣姿でパイプ椅子銅像になっていた変態が2人を見る。
「任せたもんせ!!」
「ハックション!」
2月末から毎週土曜日に始まっていた、
岐阜・三重の学校を相手にする1日3試合の過酷な実戦練習。
[これだけは僕と口約束して頂きましょうか。]
阿部先生はたった1つだけ、キャプテンの中村くんや龍ちゃんに指示を出していた。
【ローテーションで、“全員”を同じだけプレーさせてください。】
実際の采配は中村くん達に一任していたけど、
普段は控えに回る事が多い1年(現2年)生の子達にも出場機会を増やして、
あのニチャァ笑みがどこまで考えてくれてたのか知らないけど・・
結果的にレギュラー陣の疲労蓄積の回避だけでなく、
ウチらが引退した後に青愛学園を引っ張っていく後輩達の底上げ、
ウチらが目指す“全員野球”が実現していた。