天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「【数字・グラフ】
例え言葉が通じない外国人が相手でも、
万国共通で一目で理解させられる・・
人類にとっての最強の武器です。」
「全試合をデータ化したんですか!?」
「僕は文系ではなく理系の人間です。
仮説を裏付ける為に必要なのは、
言葉ではなく数字です。
全試合のスコアブックを基に、部員1人1人の成績を数値に起こしました。」
阿部先生がまずは“投手”と付けられたSheetを私に見せてくれる。
「おぉ!この単語は聞いたことがありますぞ。これが噂の[防御率]ですな。」
「はい。“投げたイニング”と“失点数”から計算される、
[1試合9イニング投げた場合に取られる点数]です。
本来、味方のエラー等で取られた点数を省いた“自責点”で計算すべき値のようですが、
僕はそこまで“野球”にハマるつもりはありませんので、単純に失点数で計算しています。」
「これを見ると・・
やはり我が学園野球部のエースは憲伸君。
2年生の正津君も決して悪い数字じゃないし、
ルーキーの岩瀬君は4月からの参加だからイニング数が少ないが、憲伸君に次ぐ成績。
阿部先生が提唱する[1人3イニング]の役割分担が本番でもいけそうですな。」
「はい。投手陣に関しては僕の仮説通りです。
このままテコ入れ無しで大会に臨んで頂きます。」