天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


続いて阿部先生が“打撃”のSheetに画面を切り替えた。


「おぉ!この単語も知っています。
これが噂の[打率]ですな。」


「はい。“打席に立った回数”と、“ヒットを打った回数”から計算される、

[10回打席に立った場合にヒットを打つ確率]です。」


「これを見ると・・やはり打線の中心は龍君。他の皆と比べると突出した打率ですな!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・ん?どうしました阿部先生?」


「これはあくまで補足。僕が数値として出したかったのは“打率”ではありません。」



「・・・・ありゃ?この数字は・・?」


「【出塁率】です。」


「え・・打率とどう違うんですか?」


「“ヒットを打った回数”ではなく、

四球・・フォアボール、
死球・・デッドボールも含めた、

【塁に出た回数】を計算に使います。

これに関しては、

“相手のエラーで出塁した場合や、ダブルプレー崩れで出塁した場合は除く”

といった正式な計算方法を用いて、
こだわって出しました。」


「でも大体“打率”と似通ってるような気が・・

打率ではなくて出塁率に注目すると、
何か変わってくるんですか?」


「ええ・・・。これこそが・・
僕が仮説として立てた、

このチームの【2つ目の弱点】を如実に裏付けしてくれました。」


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