天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「うぇ~~い!!!
どうした2人とも辛気くさい顔して~!?」
井上くんと並んで歩いていたところで、
今日も元気いっぱいのムードメーカー、
大西くんが合流してきた。
「あ、ほら!今日は阿部先生からベンチ登録メンバーの発表だから、
井上くんとその話・・。」
「井上ドンマイ!!
お前が落とされるのはもう決まりっしょ!」
「・・・・分かってるよぉ・・・。」
「・・・・・。」
「そりゃ福留には勝てねぇだろ?
お前、“他に誰もいなかったから”レフト任されてただけだもんな!」
「・・・・うん・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「それに練習試合の結果見ても、お前・・俺らの足引っ張りすぎなんだよなぁ~。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・でしょ・・・。」
「ん?筒井なに?」
「そんな言い方しなくてもいいでしょ!?」
「ちょ・・・何怒ってるんだよ・・。」
「井上くんだって今まで一緒に頑張ってきた仲間じゃん!?
福留くんがレギュラーになるべきなのは事実だけど、でもそんな言い方しなくても・・
井上くんに失礼だよ!!!」
「・・・いやいや・・・
何マジになってるんだよ・・。」
「それは確かに・・
大西くんの俊足には誰も敵わないし、
山口くんの肩の強さは凄いし・・
でも今まで一緒に外野を守ってき・・!」
「つ、筒井さん・・。大丈夫だよ・・。
俺は大丈夫だから・・
お、落ち着いて・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「そうだぜ筒井!勝負の世界なんだから、
しょうがねぇじゃんかよぉ~。」
人の良い井上くんがアハハと笑って私をなだめてきたので・・
熱くなった頭をクールダウンさせる・・。
「ごめん・・急に大声出して・・。」
せっかく高まっている士気を・・雰囲気を・・私が悪くさせちゃいけない・・。
もう・・ここは黙って見届けよう・・。