天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


顔がぐしゃぐしゃのまま・・・
大西くんがゆっくり立ち上がって・・

福留くんからゼッケン8番を奪う・・。



「・・・・なぁ福留・・・・。
前から・・気になっでだごどがあるんだ。

教・・おじえでほじいごどがあっだんだ。」


「・・なんでしょうか大西先輩・・?」


「・・お前がよく・・叫んでる・・・
【チェスト】って・・なんなんだ・・?」



「誇り高き薩摩男児が気合いを入れる時に用いるかけ声でごわす。

おいどん達は何事にも全力で立ち向かい、
どんな困難にも真正面からぶつかりもす。

それが西郷どんから受け継がれてきた、
おいどん達の誇り。

だからこそ、誰に対してでもなく、自分自身に負けない為に気合いを入れもす。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」



涙を拭った大西くんが・・福留くんから奪い取った8番を見つめた後・・・

再び・・福留くんへ差し出す・・・。



「・・チェストだ・・福留・・・。」


「・・任せたもんせ・・大西どん・・!」





「・・・スッ・・変態・・。」


「はい。」


「背番号8は福留に託す・・・
・・・これで文句ねぇだろ・・?」


「はい。ご理解ありがとうございます。」


「「「「・・・・・・。」」」」






「・・・スッ・・なんだよお前ら~!
そんな辛気くさい顔すんなよ!」


「「「「・・・・・・・。」」」」


「・・・・・・いいかお前ら!!
今日から俺は声出し要員だ!!!

下手くそなプレーしやがったら、
味方だろうが容赦なくヤジるからな!!」


最後は目を真っ赤に腫らした大西くんが、
いつものスマイルを向けてくれた。


“俺達が、お前の想いも背負う”


みんなの結束と士気が・・
その笑顔のおかげで更に強くなった。






















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