天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
そうだよね・・いくら岩瀬くんが凄いと言っても、まだ1年生。
練習試合を経験してきたと言っても、
球場全体の雰囲気も含めて、
これが初公式戦・・。
・・頑張れ・・岩瀬く・・・!?
「あっ・・!」
「あのバカ!!!」
プレーが再開して、
相手打者に投げた最初の1球。
ボールが指に引っ掛かったのか・・ホームベースの遙か手前でワンバウンドして・・
<回れ回れ~!!>
<Wow!!♪♪>
キャッチャーの中村くんが体で受け止めようと試みたけど、
取り損なってボールが後ろに逸れる・・。
それを見た三塁ランナーが一気にスタートを切って、
【ワイルドピッチ】で、
2点目を献上してしまった・・。
これで・・0―2。
一塁・二塁ランナーも進塁して、尚も続くノーアウト二塁三塁のピンチ・・。
「お前ら前進守備だ!!
3点目は防げーー!!」
大西くんがベンチから・・
そしてフィールドにいる龍ちゃんや中村君が必死に“ドンマイ”と声をかけ、
汗が噴き出している岩瀬くんを落ち着かせる。
フィールドにいるみんなも、
ベンチにいるみんなも、
誰一人として、阿部先生に[正津くんと交代させろ]とは言わない。
みんな、岩瀬くんの実力を知ってるから・・!
お願い・・!本来のピッチングが出来れば岩瀬くんは凄いんだから・・!
自分を取り戻し・・・・・ん??