天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


そうだよね・・いくら岩瀬くんが凄いと言っても、まだ1年生。

練習試合を経験してきたと言っても、

球場全体の雰囲気も含めて、
これが初公式戦・・。


・・頑張れ・・岩瀬く・・・!?


「あっ・・!」
「あのバカ!!!」


プレーが再開して、
相手打者に投げた最初の1球。

ボールが指に引っ掛かったのか・・ホームベースの遙か手前でワンバウンドして・・


<回れ回れ~!!>
<Wow!!♪♪>


キャッチャーの中村くんが体で受け止めようと試みたけど、

取り損なってボールが後ろに逸れる・・。


それを見た三塁ランナーが一気にスタートを切って、

【ワイルドピッチ】で、
2点目を献上してしまった・・。


これで・・0―2。

一塁・二塁ランナーも進塁して、尚も続くノーアウト二塁三塁のピンチ・・。


「お前ら前進守備だ!!
3点目は防げーー!!」


大西くんがベンチから・・

そしてフィールドにいる龍ちゃんや中村君が必死に“ドンマイ”と声をかけ、

汗が噴き出している岩瀬くんを落ち着かせる。


フィールドにいるみんなも、
ベンチにいるみんなも、

誰一人として、阿部先生に[正津くんと交代させろ]とは言わない。


みんな、岩瀬くんの実力を知ってるから・・!


お願い・・!本来のピッチングが出来れば岩瀬くんは凄いんだから・・!


自分を取り戻し・・・・・ん??


< 173 / 399 >

この作品をシェア

pagetop