天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
第12話
第12話
代打、一振りに賭ける男
教頭 杉下先生
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“コンコン”
“ガチャリ”
3回戦を翌日に控えた夜。
姿が見えなかったマッドサイエンティストはどうやら理事長室に居たようだ。
「あ、杉下先生聞いてくださいよ~。
阿部君ったら、勝手に引き出し開けて、
私のコアラのマーチを勝手に食べちゃうんですから~。」
“理事長あんた可愛いもん食べてるな”とツッコミたくなる気持ちを抑え、
薄気味悪い笑顔を見せながら、
何かを眺めている阿部先生の対面に座る。
「何を見て・・・あ、
スコアブックですか阿部先生?」
「・・はい。」
「この前の2回戦のスコアですか?
それとも1回戦?」
「昨年のベスト16の時のスコアブックです。筒井さんに貸してもらいました。」
「昨年のベスト16というと・・
あ!明日の対戦相手、志学園高校ですな!」
「はい。」
「昨年のリベンジマッチ・・。
部員の皆は“先輩の雪辱”と、
より一層燃えていますぞ。」