天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「教頭も見ますか?」
「いや、スコアブックの見方はサッパリなのでやめておきます。」
「では口でご説明しましょう。」
「・・?・・何をですか?」
「昨年の【敗因】です。」
「え・・・敗因・・・?」
「つくづく“記録を残す”という事はとても大切な事だと分かります。
僕は勿論、
昨年の試合を観察していませんが、
このスコアブックを見るだけで、
読み取れるものがある。」
「というと・・・?」
「3―8で敗れている為、
ピッチャーは点を取られ、
打線は点を取れず、
敗因は多くあります。
ですが・・・その敗因の1つとして挙げてもいい事柄が1つ・・。」
「・・な、なんですか?」
「・・4打数0安打・・。この試合、
龍君が完璧に抑え込まれています。」
「え!?」
「僕が野球部 顧問になってから、
彼が1本もヒットを打てない試合は見た事がありません。」
「確かに・・・。あの龍君がノーヒットに終わるなんて想像できませんな・・。」
「当時、3番打者を務めていた彼が無安打では打線が機能しません。
もちろん、3―8と完敗している以上、
彼1人に責めを負わせてはいけませんが、
彼の無安打が試合に影響したのは事実です。」
「・・・しかしだ阿部先生。
龍君もこの1年で更に全てがレベルアップしているはずです。明日は大丈夫でしょう!」
「・・・それならいいですが、
明日はその点も楽しみですね・・。」