天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


タイムを取って、
一度マウンドに集まる内野陣。

そこへ大西くんが駆けつける中・・


「先生・・・。」


「はい、筒井さん。」


「憲伸くんの今日の調子・・・。」


「野球素人では無い君達から見たら、
今日も絶好調かもしれませんが、

彼をずっと観察してきた、
一科学者の僕から見たら【最悪】です。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「試合開始時から脂汗を流していました。

・・・昨年の練習試合。1人1打席のみ三振に倒れた野手陣と違って、

彼は1人で33点取られたから、
無理もないかもしれませんが。」


「・・・・・・・・・・・。」


「酷い症状になると[PTSD]と病名が名付けられるほどです。

恐らく憲伸くんが抱えているのは、
そこまででは無いと思いますが、

【トラウマ】というものは、決して非科学的なものではありません。」



「・・私・・マネージャー失格だ・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「“これで間違いなく勝った”とか・・
“絶好調”って勝手に決めつけて・・

憲伸くんの異変に気づけないなんて・・。」


「君を慰めるつもりはありませんが、
決して“失格”ではありません。

誰の指示を受けたわけでもなく、
君達マネージャー3人が自主的に行った、

“トラウマを乗り越える武器”
を憲伸くんは身につけています。」


「・・・・・?」


「ご安心ください。

経緯は割愛しますが、
僕は“神や仏”を信じている科学者なので、

決して批判はしません。」



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