天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


「・・・監督、大丈夫です。

・・憲伸先輩も・・他の先輩方も・・
誰一人として諦めてません・・!」


「・・・・そうですか。良い事です。」




「・・・・ばれ・・・・・・・
・・がんばれ・・・頑張れーー!!!」


「「「・・・・・・」」」


「・・・何をやっているのですか君達。女性一人に声を枯らさせてはいけませんよ?」


頭の中が真っ白の状態がしばらく続いた後、
気がつけば立ち上がって声を張り上げていた。

ベンチメンバーも私に続いてくれて、それでも心を折らさない憲伸くんへ声援を送る。


阿部先生の言うとおり、
まだ裏の攻撃がある・・!


あと一踏ん張り・・!2点差ならワンチャンスで同点に追いつける・・!


だから・・・・!!



“!!”


「「「「!?」」」」


こっちの心情なんて容赦なく、
痛烈なセンター返しを放った5番の稲葉君。


「うぉおお!!!!」


でも・・・!?
憲伸くんが咄嗟に右足を出した・・!?


“パンッ!!”


サッカーのように右足に打球を当てて、
その勢いが殺される。

すぐにマウンド後方に回り込んだ久慈くんが素手でボールを掴んで、

体勢を崩しながらそのまま一塁へ・・!


《アウト!!!》


「よっしゃー!ナイスカバーだ久慈!!」


ようやく・・長い長い9回表が終わった!!


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