天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
まだ勝っても・・
負けてもいないのに・・・
“坊主頭”に刈り込んだ・・【背番号17】のユニフォームを着たその姿に・・
・・・この視界が・・・・
あっという間に滲んでいった・・。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「「「「「・・・・。」」」」」
「・・一度は・・帰ろうと思った・・。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
「けど・・ラジオから聞こえてくる・・
・・最後の夏を戦うみんなと・・・・。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
「・・ただ・・・ただみんなと・・・
・・・ッ・・・ここで・・・・スッ・・」
「「「「「・・・・・。」」」」」
「・・・こうして立ちたかった・・・。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
目を赤くして、言葉を絞り出すその姿・・
・・立ち上がった憲伸くんが・・
右足を引きずりながらそこに近づいて、
自分のバットを差し出す・・。
「・・・・・代打だよ。
美味しいとこ持ってきやがって・・。」
「・・・・憲伸・・・・・・・。」
「・・・もう立浪しかいねぇんだよ。
こんな重圧を押しつけても・・
別に罪悪感なんて覚えない奴はさ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「どうやら決まりのようですね。
・・中村君。代打を告げてきてください。」
「・・スッ・・はい!」
「さて・・ではランナーの皆さんはそれぞれの塁に戻ってください。
・・大西君。先ほどのハーフスイングを引きずるのはやめて、
いつもの騒がしいやつお願いします。」
「・・スッ・・・ハい!!」