天才か、狂人か。 ～変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる～

「［いきなり長打を打たれるぐらいなら、歩かせた方がマシ］

・・そう判断したのかもしれませんね。」


「あ？変態なんか言った？」


「いえ、独り言です。」





「よし・・龍、立浪・・頼むぞ。」


ベンチからキャプテンの中村くんがサインを出す。


どうせまた変態から小言を言われるだろうけど、

ここは荒木くんが送りバントで、１アウト二塁の形にして強力クリーンナップへ・・！



“コンッ”


「よっしゃー！ナイスバン・・・！？」


・・・あっ！！！？


今日も初球で見事に三塁線へ転がしたと思ったら・・

相手の三塁手が猛チャージをかけてきていた・・！？



《アウト！！》


《・・・・アウト！！》


悔しい～～～～！

そのままボールを掴んだサードが捕球して二塁へ。二塁ベースを踏んだショートが一塁へ。


ノーアウト一塁のチャンスが、ダブルプレーで一気に２アウトランナー無し・・。


「荒木―――！！何やってんだよ！！」


「ドンマイ荒木。こういう時もあるさ。」


地団駄踏む大西くんと、申し訳なさそうに落とした肩をポンッと叩いた中村くんが、

それぞれ荒木くんを出迎える。


・・・・うん・・！

荒木くんのバント成功率は高いけど、

１０割なんて無理だから、
失敗する事だってある！