天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


岩瀬くんが感じる“違和感”・・

試合開始からここまでずっと無表情の阿部先生が見せない、

いつもの“ニチャァ笑み”・・。


なんだか・・魚の骨が喉に引っ掛かって取れないような、

悶々とした雰囲気が流れるけど・・


《ボール!フォア!》


「よっしゃー!ナイスセン福留!!」


この雰囲気を晴らすにはやっぱり先制点が必要・・!

先頭の福留くんが二打席連続のフォアボールを選んでくれた!


南邦エースの川尻君はあまりコントロールが良くないのかな・・?

2回裏もフォアボールを出したから・・
これでこの試合早くも4個目の四球です。



「・・う~~~ん・・・・。」


「・・・・・・・・中村。
迷ってるのか?」


打席に向かう2番の荒木くん。ネクストバッターズサークルには龍ちゃんが控える。


初回はバント失敗しているだけに、今回はノーアウト一塁のチャンスをどう生かすか・・


サインを出そうとする中村くんが迷いを見せていたので、

その様子に気付いた立浪くんが声を掛けた。


「初回にあれだけのチャージを見せられたから・・。」


「・・・・強攻策でいくか?」


「・・・・・・・・いや、

バントで得点圏にランナーを進めるのがずっと続けてきた青愛野球だから、

ここもバントでいく・・!」


決心した中村くんからサインが出る。


2月末の練習試合からここまで。
一貫して続けてきた“チームのスタイル”。

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