天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


「久慈・・・続いてくれ・・!」


隣に座る龍ちゃんが呟いた。

次は9番 久慈くん・・!

このまま打線が繋がれば、

絶好の場面で龍ちゃん・立浪くんの上位打線まで回せるかもしれない・・!



“!!”


・・・やった!!いぶし銀 久慈くんが放った打球がライトに運ばれる・・!

これで1点を返し・・・


「おい!!!!?
何やってんだ井上!!!?」


「え!!!?」


ノーアウト一塁三塁・・
放たれたライト前ヒット・・


でも・・三塁ランナー井上くんが・・
ホームに返ってこない!!?


なんで・・・!?

三塁ベースにくっついたまま・・
一歩も動かない・・。


「馬鹿野郎!!
せっかく久慈が続いたんだぞ!?」


隣の龍ちゃんの怒号に・・

[やっぱりなんだかんだ、大西くんより声が大きいのは龍ちゃんだったね]

って久しぶりの感覚を思い出す・・。



「井上・・・何を勘違い・・・。」


「勘違いではありません。僕の指示です。」


「なんだと!?
どういう事だよ変態先生!!?」


「【久慈君がヒットを打っても君は動くな】先ほど大西君に伝令頂いた内容です。」


「あんた・・どっちの味方だゴラァ!!」


「落ち着いてください龍君。
これで【満塁】が出来ました。」


「・・・・・・どういう事だよ?」


「これで・・【勝負は避けられない】

あの智将が満塁の状況でも尚、逃げるのか・・それとも勝負をするのか・・

・・・見ものですね・・・?」



変態がついに・・ついに!!気持ち悪いニチャァ笑みを見せてくれた!!

相変わらず鳥肌立つけど、でも・・なんだか安堵した自分もいる・・!


< 257 / 399 >

この作品をシェア

pagetop