天才か、狂人か。 ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
「久慈・・・続いてくれ・・!」
隣に座る龍ちゃんが呟いた。
次は9番 久慈くん・・!
このまま打線が繋がれば、
絶好の場面で龍ちゃん・立浪くんの上位打線まで回せるかもしれない・・!
“!!”
・・・やった!!いぶし銀 久慈くんが放った打球がライトに運ばれる・・!
これで1点を返し・・・
「おい!!!!?
何やってんだ井上!!!?」
「え!!!?」
ノーアウト一塁三塁・・
放たれたライト前ヒット・・
でも・・三塁ランナー井上くんが・・
ホームに返ってこない!!?
なんで・・・!?
三塁ベースにくっついたまま・・
一歩も動かない・・。
「馬鹿野郎!!
せっかく久慈が続いたんだぞ!?」
隣の龍ちゃんの怒号に・・
[やっぱりなんだかんだ、大西くんより声が大きいのは龍ちゃんだったね]
って久しぶりの感覚を思い出す・・。
「井上・・・何を勘違い・・・。」
「勘違いではありません。僕の指示です。」
「なんだと!?
どういう事だよ変態先生!!?」
「【久慈君がヒットを打っても君は動くな】先ほど大西君に伝令頂いた内容です。」
「あんた・・どっちの味方だゴラァ!!」
「落ち着いてください龍君。
これで【満塁】が出来ました。」
「・・・・・・どういう事だよ?」
「これで・・【勝負は避けられない】
あの智将が満塁の状況でも尚、逃げるのか・・それとも勝負をするのか・・
・・・見ものですね・・・?」
変態がついに・・ついに!!気持ち悪いニチャァ笑みを見せてくれた!!
相変わらず鳥肌立つけど、でも・・なんだか安堵した自分もいる・・!